あの子はだあれ?
投稿日:2008/10/26 12:34:18 | 文字数:763文字 | 閲覧数:820 | カテゴリ:小説 | 全3バージョン
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はっきりとその姿が見えるワケじゃなかった。
ただ、時々。
人ごみの中でショーウィンドウに自分の姿が映ったのを見た時、とか。
洗面所で顔を洗っていて、顔を上げた一瞬、とか。
ガラガラの電車の中で居眠りしてて、起きた瞬間の夕焼けに染まった向かいの窓、とか。
そういう一瞬に、一瞬だけ、姿が見えた。
あの子は誰だろう?
あたしと同じ髪の色。あたしと同じ目の色。あたしとよく似た顔。
それでもあたしと違う。のは。そう、断言できるのは。
その子が男の子だからで。
どう違うって言われたら体型とかもそんなに違わないし、ちょっと説明できないんだけど、やっぱり違って。男の子で。あたしとは別人。ムネないし。
……あたしは、ちょっと、はあるよ? ちょっとは!
あの子は何者?
どこに存在するの? 何をしてるの? 名前はなんていうの? どんな顔で笑うの?
興味あるよ? もちろん。
だってあの子。歌うんだよ?
時々、時々。
部屋の中で一人で歌を歌っていると聞こえてくる。一人で歌ってるハズなのに。同じ旋律。同じリズム。なのに別の声。ちょっと鼻にかかってて、でも可愛くて、綺麗な。とても綺麗な声。
一緒に歌うと、頭の先から何かが突き抜けてく感じがする。あたしの中にある、曖昧だけど絶対あるイメージ、全部そん中にぶちこんで。それが、伸び上がって広がって、空に溶けるように。すぅっとする。夢中になる。
そのとき、あたしは確信できる。
あたし、今、世界で一番の歌うたい。
だから、あたしはあの子の声は知ってる。歌を知ってる。
それで充分なのかもしれないんだけど、時々むしょうに会ってみたくなる。
会って、喋って、笑って。
それで一緒に歌いたい。
ねえ、キミはそう思わない?
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【亞北ネル】悪ノメイド 前半【鏡音リン・レン】
悪のメイド 前半
Ⅰ.
黄の国の革命において王女リンは処刑された。これは歴史的事実として知られているところであるが、巷説や演劇などでは広く王女生存説が語られている。王女の双子の弟レンが行方不明であることから、彼が替え玉となって処刑されたとするのが王女生存説の一般的なスタイルである。
公文書の記録によれば、王女の首は切断された後しばらく塩漬けにして保管されたが、体は市民の投石によって無残な肉塊となってしまった。処分したとされている。これは少なくとも彼女の死後において、王女の性別は確認されていないことを意味する。
また、王女は捕らえられてから自分の体に他人が触れるのを極度に嫌がったらしい。そのため、革命軍は凶器所持のボディチェック以外はとくに身体調査をせず、着替えなども自分でさせていたという記録もある。つまり、服の上からの見た目だけで、革命軍は王女を本物だと認定したことになる。
【亞北ネル】悪ノメイド 前半【鏡音リン・レン】
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もしもし、あなたはなんですか
「ふたりでひとつ」なんて言葉を信じられなくなったのはいつだっただろう。
「ねえ」
「うん?」
「そこってどんな感じ?」
「…入ってみればわかるけど」
もしもし、あなたはなんですか
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[小説]Clear The Decks[カイ(メイ)+レン(リン)]
「カイ兄ってちょー情けないヘタレだよな」
台所でアイスを頬張っていたカイトに向かって、そう宣ったのは双子の片割れレンだった。
自分より年下のその少年(メイコがいうところの弟)はカイトに冷たい一瞥だけくれた後、斜め前の椅子にドカリと腰掛けた。レンからそんな言葉を貰ったカイトはというと、スプーンをくわえたまま小首を傾げて不機嫌顔のレンを見やる。
"情けないヘタレ"とカイトにとって不名誉窮まりないだろう形容をされても、彼は取り留めて気にした様子もなかった。それどころか、ほけほけと緩く笑って、「んー? 具体的にどこが?」などとレンに聞き返す始末。正しく情けない自身の兄(不本意ながら兄だ)に、レンは盛大な舌打ちをしてみせ、
「めー姉好きなくせに何も行動しないところ」
[小説]Clear The Decks[カイ(メイ)+レン(リン)]
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【小説化してみた…のか?】 Gravity=Reality
この作品は、SAM(samfree)氏のかわいいルカうた「Gravity=Reality」へのリスペクト小説です。
みんなの優しいお姉さん、ルカさんが恋をしたものだから、さあ大変……というお話です。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
【小説化してみた…のか?】 Gravity=Reality
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なまえのない そのうたは
「リンー」
「なに、めーちゃん?」
頭だけキッチンから出した格好でめーちゃんが声をかけてくる。私は読み掛けの雑誌から顔を上げて返事を返した。
「あのね、もう夕飯なんだけど、まだレンが買い物から帰ってないのよ」
「え?」
なまえのない そのうたは
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むかえにきたよ
駅の改札から出ると、辺りは真っ暗になっている。
家路へ急ぐ会社帰りのおじさん達を横目に見ながら、さて私も早く帰らなくちゃと肩からずり落ち気味の鞄を背負い直した。
肺に溜まった嫌な空気を深呼吸で新鮮なものに入れ替えて、足を踏み出す。ここから家までは歩いて二十分ほどで、決して近くはないけれど、留守番をしている皆の事を思い浮かべていればあっという間だ。
そんな事を考えていた時だった。
「マスターっ」
むかえにきたよ
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リンが風邪をひいた日
昨日から、変だなって思ってた。
歌ってる時になんとなく、空咳をくりかえしたり、喉の辺りを触って首をかしげたりしてたし。そういえば声の伸びもあんまり良くなかった気がするし。
今朝になってそれは明白になった。
顔を真っ赤にして、苦しそうに咳き込みながら寝込んでいるリン。真夜中に発熱して、今日はてんやわんやだった。
「レン? 支度できたならさっさと学校行きなさい」
リンが風邪をひいた日
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思春期の歌声【リンとレン】
「…レン?」
双子の弟の名前を呼びながら目を覚ます。あるはずの亜麻色が見当たらない。隣で寝ているはずのレンがいない。
「レン…?」
真夜中。外には半月。布団には私の温もりしか残っていない。
「レン…っ」
思春期の歌声【リンとレン】
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レンリン(学パロ双子設定)
【胸がきゅっとなる】(レンリン)
「ずっと一緒にいられたらいいのにね」
夕焼けがまぶしい、学校の屋上。体育座りで膝を抱えたリンが、枯れたような声で呟く。
一緒にいられたらって、誰が?……俺が?
レンリン(学パロ双子設定)
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メイコの日【カイメイ】
「メイコさんっ」
五月五日の昼食後。居間で食事を終え、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたところ、唐突に背後から呼び止められた。
「カイト?」
駆け寄ってくる足音に振り返る。声で分かった。呼びかけてきたのは青い髪の「弟」だ。私の間近で足を止めて、じっと私を見つめてくる。
頭ひとつ高い「弟」のカイトを見上げると、カイトが柔らかく微笑んだ。
メイコの日【カイメイ】
鏡音ーズ大好きです。超大好きです。
どっちのが好きかって言われたら僅差でリンちゃんです。