trick×treat×xxx【カイマスハロウィン】

投稿日:2010/11/11 18:26:56 | 文字数:3,707文字 | 閲覧数:499 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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今更ハロウィンでごめんなさい。遅刻じゃないんです、連載との兼ね合いで上げるに上げられなかったんです;
これ単体でも読めると思いますが、連載『KAosの楽園』のカイト&マスターです。時系列的に最終話より後に位置するので、連載の方を読んでる途中の方はネタバレになるかも(だからUPしなかった;)
作中はまだ10月なんだと思ってくださいm(__)m

「前のバージョン」に、ちょっとだけ続きです。

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TEXT
 

カボチャお化けに、クモの巣、コウモリ。ゴースト、黒猫、ヴァンパイア。
ちょっぴりホラーな飾り付けが施された館内を進むと、カウンターには魔女がいた。
……って、

「マスター! どうしたんです、その格好」

そう、魔女のお姉さんはどう見ても俺のマスターだった。吃驚して思わずかけた声に、マスターも俺に気付いたらしい。とんがり帽子の鍔の下で、恥ずかしそうに苦笑を浮かべた。
えぇと、事情は分からないけど可愛いです、マスター。あぁでもお仕事中だから、抱き着いたりとかしちゃ駄目なんだよな。つらい……!



「館長がイベント好きな人でねー、今月一杯ハロウィンモードだってさ」

少し経って休憩に入ったマスターは、お昼御飯を食べながらあの格好の理由を教えてくれた。汚すといけないから、と衣装は脱いでいて、何だかちょっと残念だ。

「ハロウィンって、あれですよね。子供達が仮装して、お菓子を貰って回るっていう」
「そうそう。飾り付けとお菓子の用意はともかく、大人の私達が仮装ってどうなんだろうと思わなくもないんだけどねぇ。でもちょっと見てみたら大人用の仮装衣装とかも売ってるみたいだし、いいのかなぁ」
「とりあえずマスターはイイと思います、物凄く」
「あ、ありがとう……? え、あれ、『いい』のニュアンス変わってるような気が」

握り拳で力説する俺に、気圧されたように応えるマスター。あれ?なんて疑問符を浮かべながらも御礼を言ってくれるところがマスターらしい。そういうところが、大好きです。
嬉しくなってにこにこしていると、マスターはますます不思議そうな顔をして、首を傾げた。



休憩時間が終わってしまうのは、いつもだったら少し寂しい。お仕事中のマスターも素敵だし、時々声をかけてもらうのは嬉しいんだけど、もっと話したいとかくっついてたいとか、俺だけで独り占めしてたいとか、やっぱり考えてしまう。
だけど今日は、寂しいのと同時に少しだけ楽しみな気持ちもあった。お仕事に戻るって事は、またさっきみたいに魔女の仮装をするって事だから。どんな服でも俺のマスターは宇宙一だけど、普段とはまるで違う格好って、何だか格別だ。スペシャルな感じがして、どきどきする。あぁ、一緒に夏祭りに行ってくれた時の浴衣姿も良かったなぁ……。

「兄さん兄さん、顔蕩けてるよ。何が見えちゃってるの?」

ふいに聞こえた声に我に返ると、マスターが呆れた笑顔で立っていた。

「ぅえ、え? 俺ヤバ気な顔してました?」
「控えめに言って『お花畑をスキップ中』って感じだったわ」
「う、うわー……」

完全にトリップしてたんですね、俺。恥ずかしさに耳まで熱くなる。ひとり黙ってにやけてるなんて、危ないひとみたいじゃないか。っていうか、マスターにそんなだらしない顔を見せちゃったなんて……!
頭を抱えて身悶える俺の隣で、マスターはお仕事に戻ったようだった。って言っても、いつもとは少し違う。

「魔女のお姉さん、えっと……『とりっく、おあ、とりーと』!」
「はい。お菓子をあげるから、悪戯は無しにしてね」

たどたどしいお決まりの台詞に優しく笑って、カボチャの形をしたバスケットからお菓子を渡す。どうやらこれも、館長さんの『イベント好き』の一環みたいだ。よく見ればマスター以外にも仮装をした職員の人があちこちに立っていて、子供に声をかけられてはお菓子を差し出していた。
マスターから貰ったお菓子の包みを手に、嬉しそうに去っていく子供達。それを何となく目で追っていると、利かん気そうな男の子の声が耳に入った。

「ねーちゃん、『トリック オア トリート』!」
「はい、――っ?!」

がば、と擬音が聞こえそうな勢いで、マスターのスカートが捲られた。白い脚が一瞬で目に灼きついて――いや、そうじゃなくて。

「僕のマスターに何してくれてるの、君。覚悟はできてるんだよね……?」
「ちょ、カイト自重っ! お客様だから相手っ!」

巫山戯た真似をしてくれた子供の首元へと手を伸ばすと、マスターが慌ててその腕に抱き着いて止めに入る。当の子供はヒッと息を呑んで後退り、目を眇める僕を凝視していた。蒼白な顔色は先程灼きついた白い光景を思い出させ、マスターに捕まった腕は至福の柔らかさに触れて、うんほんと至福……いやあれ、えーと俺は何を考えてるんだっけ。
つっと鼻の奥から伝う感触に我に返ると、赤い雫が垂れそうになっていた。

「あ」
「うわ、ほらティッシュ! 本に付けないでね、お願いだからっ」
「はひ……」
「そして君は今のうちに逃げて逃げて」
「え、あ」
「ん? あぁ、お菓子は駄目ですよ? 『トリック "オア" トリート』って、『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!』って事だから。君は悪戯を選んだんだから、お菓子はあげられません」

にっこり笑って穏やかに、でもきっぱりとマスターが言う。男の子は口の中でもごもご言って、キッと俺を睨みつけてきた。……え、何で俺?

「ばーか! はなぢおとこー!!」
「な、」
「えっはい、そうですね……?」

まぁ確かに、と思って曖昧に頷くと、彼はますます悔しそうな顔で俺を睨み、何処かへ駆け去っていった。その背にマスターが何か言いたげに口を開きかけ、難しい顔で踏み止まる。
俺の為に憤ってくれたんですね、マスター。憤慨した顔が嬉しくて、また抱き着きたくなってしまった。



お仕事の邪魔をするわけにはいかないからマスターと別れて、ふと思いついてぐるりと周りを見回してみた。……いた。ちょっと離れた物陰から、さっきの男の子がマスターに視線を送っている。これって多分、

「俺のマスターが好きなんですか?」
「うわっ!?」

俺のかけた声に、彼はビクッと飛び上がった。予想以上の反応にこちらも驚いて、はっと気付いて辺りを見回す。

「しっ、駄目ですよ、図書館ではお静かに」
「オマエがおどかすからだろっ! 何だよいきなり」

唇を尖らせるのに構わず、ちろりと目線でマスターを示した。彼もつられて視線を動かしたところへ、努めて淡々とした調子で続ける。

「さっきの。子供は『好きな子ほど苛めたい』ものなんですよね?」
「だっ、だれが子供だよ、ガキ扱いすんな!」
「『好きな』、ってところは否定しないんだ」

じとりと見下ろして言うと、男の子の顔がかっと紅くなった。

「っ、うるせーな、カンケーないだろっ」

怒った風に喚いても、耳まで朱に染めていては照れ隠しにしか見えない。やっぱり、そういう事なんだ。
まぁ無理もないとは思うよ? ……だけど。

「関係無くなんてないね。駄目だよ? あのひとは僕のなんだから」
「な、何だよそれ!」
「何って、そのままだけど。僕のだから、譲らないから。次は……許さないよ?」

口の端だけは吊り上げて、笑みのようなものを貼り付けて。けれど勿論笑顔なんかではなくて、きっと目は据わっているだろう。
そんな僕の表情と、ワントーン下がった声に怯みながらも、マスターを狙う不届き者はキッと僕を睨み上げてきた。

「何でねーちゃんがオマエのなんだよ、ケッコンしてんのかよ?」
「けっ……」

その単語の持つインパクトに、一瞬で顔が熱くなった。けっこん。マスターと。結婚……っ。
電脳が高速回転するのを感じるようだ。夢の単語に触発されて、脳裏を輝くイメージが駆け巡る。具体的にはウエディングドレスのマスターとか、フリルいっぱいのエプロンを着けたマスターとか――あぁもうマスター、綺麗です可愛いですっ!

「うぉ、にやにやすんなよキモイだろ! ……してんの? ウソだろ?」
「え、何が……あぁ、いや、結婚……っは、してませんけど」

まだ、してませんけどっ!
かけられた声に引き戻されて、一応本当の事を言う。否定の言葉に彼は胸を撫で下ろしたようだったけど、俺は更に『本当の事』を続けた。

「でも一緒に住んでますよ。毎日一緒にご飯を食べるし、台所洗剤のCMみたいに並んでお皿を洗うし……うわ、何かこれって『新婚さん』みたいじゃないですか? ですよね?」
「な、何だよそんなのっ! じゃあ、じゃあえっと……そうだ、ちゅーとかしてんのかよっ」

ぐら、と視界が傾いた。
危ない、回路飛んだかと思った……! なんて破壊力のある単語を連発する子だ。
浮かれきった様から一転、言葉を失くして固まる俺に、男の子の顔に再び安堵の色が浮かぶ。

「ほ、ほら。してねーんだろ」
「……してます。いっぱい」

ぽそりと零れた言葉に、男の子は思い切りショックを受けた顔をした。ウソだろ、の言葉が無かったのは、多分俺が真っ赤な顔で、どうしようもなく湧き上がる笑みを抑えきれずにいたからだろう。
彼はぎゅっと拳を握ると、背中を向けて駆けていった。

「うわーん、ばかやろー! はなぢおとこのくせにぃーーー!!」

盛大な捨て台詞が、静かな館内に響き渡る。何事かという目を向けてくるマスターに、満面の笑みで小さく手を振った。

――ふっ、勝った。

【お知らせ】テキスト投稿が非常に使い辛いため、こちらでは歌詞や音源のUPとコラボ関係のみに縮小、以後の小説投稿はすぴばる&ピクシブへ移行します。

■小説メイン時々歌詞な字書き……だった筈が、動画編集やボカロ調声、作曲にまで手を出してます。どうしてこうなった。

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作品へのコメント1

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    ご意見・感想



    へんじがない ただのしかばねのようだ

    2010/11/12 22:17:02 From  時給310円

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    メッセージのお返し

    www
    お褒めの言葉と受け取らせていただきますw

    2010/11/13 00:04:18 藍流

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