青い草 第3話

投稿者: usericonkanpyoさん

投稿日:2018/06/11 08:40:29 | 文字数:3,004文字 | 閲覧数:148 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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学園胸キュン物語『青い草』
メイコとカイトが登場。
豪腕生徒会長のメイコの弱点は?
カイトとレン君の出会いの話。

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学園胸キュン物語『青い草』
メイコとカイトが登場。
豪腕生徒会長のメイコの弱点は?
カイトとレン君の出会いの話。

第3話 【夕焼けの鍵盤】


机に膝を立てて座り窓の外を眺め、カイトは物思いに耽けていた。
何気なく教室に入ろうとしたメイコだったが、壊し難い空気感にすっかり入るタイミングを逃し、立ち止まってカイトの横顔を見つめていた。
色白で端正な横顔。開いた窓から、いたずらなそよ風がカイトの髪を梳く。それが煩わしくなり、細く長い指が顔にかかる髪を無造作に掃った。

遠い音楽室からは名も知らないソナタが流れ、メイコは息を潜め小さく呼吸をしてることに気づき、顔に体中の体温がが集まるような感じがしてきた。
メイコは気づかれないように、ゆっくり深く呼吸をして半分だけ閉まってる教室の引き戸をノックした。

ノックに気づいたカイトは振り返り、メイコの姿を見つけニコリと笑って手で合図した。
「―――おや、生徒会長じゃないか」
「な、何、カッコつけてんのよ!馬鹿じゃないの」
「ははは。そういえば、先日貸した本はもう読んだかい?」
「あんな本、どこが面白いの? ちっともワケ分かんないわよ」
本は面白かった。
古ぼけたデレク・ハートフィールドの冒険小説をカイトから借りたのだが、全編に渡るハチャメチャ感がシュールな面白さを醸し出していた。
本は何度も読み返されたのであろう、新品の頃より手垢で少し厚く膨らんでいた。読了後、カイトの少年のような部分を見たような気持ちになり色褪せたその本を抱きしめてメイコは少しだけ―――何故か泣いてしまった。もちろん、そんな事言える分けないし、ついつい嘘を言ってしまったのだ。
「あはは、そうかい。じゃあ今度はもっと素敵なヤツを」
「ほんと、頼むわよ。あの・・・それと・・・さ」
「・・・ああ、やっぱり、ダメだったんだろ?」
「・・・うん、ごめんっ。やっぱり、定員人数がいないとね―――」
カイトは科学部の部長である。辛うじて同好会として活動していたが
部員達がそれぞれの事情で退部してしまったのだ。
「まあ、予算なんてどうでも良いんだけど―――」
「そうね、場所なんでしょ?」
「まあ、しょうがないさ。会長」
「ん?」
「ありがとう、色々動いてくれたんだね」
メイコはまた体温が顔に集まるのを感じた。気づかれまいと顔を背け話を続けた。
「・・・ほ、方法が無い訳じゃないんだけど・・・わ、私が入って上げても―――」
カイトは話を止めて言った。
「気持ちだけ・・・貰っとく。お前は生徒会で忙しいからさ」
メイコはうなずき、そして少し―――がっかりした。
実際、メイコは多忙だ。ボカロ学園の生徒会長として日々忙しく動き回っている。その手腕も中々のもので、ことごとく生徒たちの要望を
聞き入れ、先生たちと交渉しいくつものイベントを成功に導いている。

一方的に生徒たちの要望を教師陣に言うだけではダメなのに気づいたメイコは、いくつかの手札を揃えた。
それは、近所や公園のごみ拾いや、バザーの開催など生徒たちを使い
自主的なボランティア活動などを行い、それを手札として教師陣と交渉したのである。
これに大いに貢献したのが学園の女王ミクだった。
ミクの腹黒さと自己顕示欲を見抜いたメイコは、それをおくびにも出さず、ミクをもてはやした。
公にしない女子人気ランキングを操作したり、校内イベントのおいしい役をさりげなく渡したりして、ミクの学園内の人気を更に不動のものにしたのだ。
ボランティアにミクを参加させることにより男子生徒が殺到。ボランティア活動は大いに盛り上がった。タイミングも良かったのはうっかりローカル番組のニュースにミクが甲斐甲斐しくボランティアに参加
してる映像が流れ、それがちょっとした評判になり学校の評価も上がった。
そうして彼女の人気は、学園の外にまで響き渡っていった。
流石にテレビまでは計算外だったが、概ねメイコとミクの利害関係は一致して、メイコは上手くミクを使い調理し、ミクはメイコのお膳立てをおいしく頂いた。
現在のボカロ学園の自由で文化的な校風は、メイコの影の活躍が大きいのである。
そんな狡猾なメイコだがひとつだけ、上手くいかないことがあった。

「じゃあ、俺、帰るわ」
「え、え、あ、そう・・・」
「―――そうだ、お前、学校の近くの自販機にあったんだけどアイスキャンデーソーダー茶って、もう飲んだかい?」
「なにそれ!? いかにも―――やばそうなお茶じゃない・・・」
「ばーか、きっと旨いはずさ! お礼におごるから、帰りに一緒に飲まないか?」
「じゃあ、労働の見返りで、おごって貰ってやる!」
「あはは、じゃあ、下で待ってるよ」

カイトとメイコは手で合図してと教室を出た。
明朗快活なメイコなのだがカイトの前では、すこしだけ素直になれない。それがなぜなのか? 一番分かってないのは、渡り廊下を鼻歌を歌いながらスキップする―――メイコ自身だった。

カイトはメイコを待つ前に、トイレに立ち寄り、用を足そうとした。
男子トイレに入り便器の前に立った時、下級生が飛び込んできた。
「もれちゃうわん! もれちゃうわん!」
「おやおや、少年。慌てると大惨事になるぞ~。こういうときこそ冷静に落ち着くのだ」
「ほわ~大人の意見だわん!」
「うむ、では一緒に用を足そうではないか」
「―――・・・」
ぷう~~っ
「おや、少年、放屁かな」
「ごめんだわん、プーしちゃったわん」
「ふむ、仕方ないね、放尿すると体温は急激に下がり、腸内を収縮させてガスを外に押し出す―――人体とは、そういう構造なのだ。恥ずかしがっていけない」
「くっさいわん!」
「う~む確かに、粘着質で水分も多めに含んだ臭いだな」
「なんで、おならはくさいわん?」
「それは、ウンチにもっとも近い気体だからだよ」
「ほわ~、すごいわん! 先輩すごいわん!!」
「何事も好奇心旺盛なのはよい事。君も見所があるぞ。そうだ、もしよければこれを―――」
カイトは名刺を差し出した。こういう事もあろうかと彼はPCで名詞を作りいつも胸元に入れていた。
「かがくぶ ぶちょう・・・ほわ~!」
「君の純粋な疑問を、科学が解決だ」
「わおっ! だわん」
「あはは、おもしろいヤツだ。気に入ったぞ!」
カイトは手を差し出した。下級生も手を差し出し、二人は握手した。

当然、お互い手も洗わず握手したが、この二人には、あまり気にもして無さそうである。

「急いでるので、さよならだわん」
「うむ、気をつけてな、うんうん」
カイトは手を振り下級生を見送った。

トイレから出て、レンは校舎を出る。その先にはリンが一人で待っていた。
「リン君、トイレで面白い先輩がいたわん!」
「それよりお前、手、洗ったのか?」
「あ~~・・・わすれた☆わん」
「わっ! きったね~な!! わっ!? 触るな馬鹿ぁ!」
レンはふざけてレンに触る仕草をした。

夕焼けに染まった雲がゆっくりと進み、音楽室から誰かがふざけているのだろう。ピアノで「猫ふんじゃった」が軽やかに流れていた。
校門に連なる塀は夕日で影をつくり、道路には鍵盤のような模様になっていた。
その上を、リンとレンはまるで子猫がじゃれあうように、小走りで学校を後にした。

【つづく】

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私も厳しい意見を言われると・・・泣いちゃいます(T3T)
手厳しい意見があれば作者に一度、掲示板等でかまいませんので「この部分に指摘があるのですが」等、コンタクトとってください。

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