ボカロ イメージ小説~家に帰ると家族が必ず死んだふりをしています~(2)

投稿日:2015/10/12 21:04:55 | 文字数:3,435文字 | 閲覧数:139 | カテゴリ:小説

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なんか別の曲が混じりつつあります・・・

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<きっかけ>

うちの家族たちがこんな真似をするようになったのは、いつぐらいからだろうか。

多分、先月の初めくらいに遊んでいた“かくれんぼ”がきっかけだったように思う。

休日ながら仕事で外出していた私を除く家族四人、暇つぶしに遊び始めた、かくれんぼ。

けれどやるからには徹底してやるというのが、うちの家族の共通した長所であり、短所でもある。

どうやらその性質に火が点いてしまったらしい。

家の中限定のかくれんぼながら、定番の押し入れ、机の下、カーテンの陰に留まらず、屋根裏、床下、タンスの裏、庭の草樹に変装までする大掛かりなものになったようだ。

私が帰宅したのは、かくれんぼが最もヒートアップしたときだった。

オニ役の旦那が本気の形相でゴミ箱の中を漁っているのを目にした時は、あまりの光景に思わずその尻を蹴飛ばしてしまった。

「何やってんのよ、このバカイト!」

「あ、おかえり、めーちゃん。何って、かくれんぼだよ。ここに隠れてるかと思って」

「ゴミ箱にいる訳ないでしょ!?」

自分の弟妹を何だと思ってる?

だいたい、勝手知ったる我が家の中で、隠れる場所なんてそうそうある訳でもあるまいに。

と、思っていたのだけど、本気になったちびーずたちは中々に手強かった。

私も参加して探し出したのだけど、これが驚くくらい見つからない。

何だか見つけられないのが悔しくなって、私も少しずつ本気になりだして、気が付けば冷蔵庫の野菜室を調べている自分が居た。

………旦那の尻を蹴り飛ばせた立場じゃ無かった。

そんな自分がなんだか恥ずかしくなって、それを誤魔化すつもりで野菜室にあったネギの束を取り出した。

「ミク、見ーつけた♪」

「それ私と違うよっ、ネギそのものだよっ!?」

すぐそばの床板が跳ね上がって義妹が顔を出してきた。

冗談で言ったつもりだったのに、まさかこんな方向からツッコミが来るとは思わず、本気で驚いた。

驚き過ぎて、反射的にそのツインテール頭を床下に押し返してしまった。

「みぎゃっ!?」

「あ、ミクごめん。大丈夫だった?」

「うん、平気。えへへ、見つかちゃったぁ」

妙に嬉しそうにごそごそと床下の収蔵庫から這い出して来る義妹。

ちなみに言っておくがそこの収蔵庫も冷蔵庫の野菜室並みに狭かったりする。

まだチビとはいえ、こんなところによく隠れられたものだと、呆れるよりも先に感心してしまう。

床下に義妹が居たならば、屋根裏には義弟が潜んでいた。

天井から寝息の様な音が微かに聞こえてきたので、試しに押し入れの奥から天井板を外して覗いてみたら、そこでレンが丸くなって寝ていた。

お前はネコか。

呼びかけても起きないので首根っこ掴んで引きずりだしたら、寝ぼけて「にゃぁ」と鳴いた。

……今度、ネコ耳と尻尾つけてやろう。と心に決めた。

残る一人ことリンは庭の茂みに潜んでいた。

ご丁寧に迷彩服まで着こみ、顔を泥んこまみれにして、全身に木の枝や葉っぱをくっつけて、お前はいったいどこのグリーンベレーだ。

そもそもどこから迷彩服なんて用意したのだろうか。

まぁ、今から思えばあれもがくぽから貰ったものに違いないのだろうけど。

とにかく、この無駄にハイレベルになったかくれんぼは、これ以来ちびーず達のマイブームになってしまったようで、私が帰宅するたびに義弟義妹たちは一斉に隠れ、私は旦那と一緒に探すのが日課になった。

と言っても、あんなハイレベルなかくれんぼを毎回やられてはこちらの身がもたない。

だから、隠れ場所は制限させてもらった。

そうなると必然的に隠れる方も探す方もマンネリ化してくるので、一週間ほどでかくれんぼは下火になった。

かわりにちびーず達の間で流行り出したのが“寝たフリ”だった。

今度のきっかけは、押し入れに隠れたレンがまたしてもそのまま寝てしまったことだった。

見つけたものの相変わらず「にゃぁ」とか「うにゃあ」とか鳴いて起きやしないので、仕方ないので抱き上げて子供部屋まで運んであげた。

それをミクとリンが羨ましそうな目で見ていたから、多分、そうだろう。

次の日からすぐに二人とも隠れ場所で寝たフリを始めて、私が抱き上げるまで起きなくなり、その内、三人とも隠れることさえやめて玄関で寝たフリを始めた。

帰宅した私が真っ先に誰を抱き上げるかで競っているらしかった。

別に誰をひいきにしてる訳でも無く三人とも私の可愛い弟妹たちだ。

だからできれば三人まとめて抱き上げてやりたいのだけど、流石にそれは無理な話。

だからあの手この手で三人を起こそうと試みた。

声をかけたり、ゆすったり、しまいにはくすぐったり。

くすぐり攻撃はよく効いた。

まぁ、結局は起こした三人に一斉に抱きつかれてしまうのだけど。

ハイレベルなかくれんぼに続いて、毎回ちびーずをまとめて起こしたあげくに抱きつかれたんではやっぱり私の身がもたないので、寝たフリは一日に付き一人ずつ、と言い聞かせた。

ちびーず三人、私や旦那の言う事は大人しく聞く良い子たちなのだけれども、それを踏まえて行動が大人しくなるかといえばそうじゃない。

一人ずつの順番になったことで誰がより上手く寝たフリが出来るか競うようになり、ついにはそれが死んだフリにまで発展した。

こういうのを斜め上の発想という。

ここに凝り性の旦那と、変な土産物と差し入れが趣味の踊る侍が加わって、私の帰宅時の光景はさらにカオスなものと化した。

あるときはレンが頭に矢を突き刺して倒れていた。

もちろん本当に刺さっているはずも無く、どんな仕組みになっているかと言えば、両脇に矢じりと矢羽根がついたカチューシャだった。

提供元はやはりがくぽだったらしい。

レンはそれが気に入ったのか、しばらくそれを付けっ放しにしていた。

せっかく仕事場からネコ耳カチューシャくすねて来たのに、あのダンシングサムライめ、余計なことしやがって。

その次の日はリンが迷彩服姿で玩具の鉄砲抱えて倒れていた。

迷彩服はあのハイレベルかくれんぼで着ていたやつだ。

どうやらかなり気に入っているらしい。

リンとレンの嗜好が逆の様な気がしないでも無い。

例によって抱き上げようと近づいたら、何かぶつぶつ呟いているのが聞こえた。

「……私、この戦いが終わったら結婚するんだ……」

「誰とよ?」

思わずツッコミを入れてしまった。

って言うかそのフラグは死んだフリする前に立てるべきじゃなかろうか。

その次の日はミクの番のはずだったけど、玄関のドアを開けて転がっていたのは何故か巨大な魚だった。あれは何?

長く伸びる背びれ、重く横たわる身体、くすんだ大きな目、なぜか伸びてるツインテール、なぜ家の玄関でマンボウが死んでいる?

突っ込みどころが多すぎて玄関のドアを閉めようかと思った。

こんなキグルミまでちびーずに譲り渡すとは、がくぽの“お土産”“差し入れ”も悪ノリで済まないレベルになってきたようで、そのうちいっぺん締めあげてやらにゃいかんな、と思いつつ、次は果たして何が来るだろうか考えた。

矢、軍人、マンボウと来たから、元ネタ的に次はワニのキグルミにかじられでもしているのかな。

と、予想しつつ次の日の玄関のドアを開けた。

でっかいナスとマグロとタコが揃って玄関で死んでいたのを目にして、今度こそ本当に玄関のドアを閉めなおした。

ちくしょう、これは予想していなかった。

よりにもよって締め上げてやろうと思っていた相手の方から先手を打ってくるとは。

改めて玄関に入った私を、キグルミを脱ぎ捨てたがくぽとルカがにこやかに出迎えた。

「おかえりなさい、メイコさん」

「どうも、お邪魔しております」

夫婦そろって馬鹿丁寧に挨拶されちゃ、怒るタイミングも逸してしまう。

それに高級ナスと大間産マグロと明石の新鮮活きタコまで差し入れされて、家族全員大喜びだからどうしようもない。

それにしても他人の家まで来て何やってるんだこの夫婦。

何となく“類は友を呼ぶ”ということわざが思い浮かんだ。

……否定できる要素が見つからなかった。

ちなみに活きタコは差し入れでは無く彼らのペットだったらしく、そのまま持ち帰っていった。

(プロフィールはありません)

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