"悪の召使"歌詞小説No.5(悪2/1)

投稿日:2010/02/07 10:21:33 | 文字数:3,955文字 | 閲覧数:1,193 | カテゴリ:小説

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…入りきらなかった…

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昔々、一人の少女と一人の少年がいました
無知であるが故に、自分の想いを伝えられなかった不器用な少女
利口であるが故に、運命を変えられなかったことを悔やむ少年
これは、そんな少年の物語…―


オリジナル変換小説№5
『悪の召使』作詞・作曲:悪ノP様 唄:鏡音レン



青の国、緑の国、黄の国、白の国
それは小さいようで大きい四大勢力の国々
僕はそのうちの黄の国の王女に仕える召使
決められた時間に起きて、決められたことをこなして
休む暇もないまま王女を起こしに行く
その時間は唯一心休まるときでもあるけれど

トントン、と軽くノックをする
返事が返ってこないのはいつものことだから勝手に入って王女が目を覚ますのを待つ
きょろきょろと周りを見渡し、ようやく僕が視界入ったらしい

『おはようございます、王女』
『………』

返事がないのはいつものこと
だから僕はクローゼットを開けて、一つのドレスを取り出した

『今日はこちらのお洋服をお召しになってみてはいかがですか?』

傅いて手渡せば、ドレスをじっくり見てから嬉しそうに微笑む王女を見て、僕もつられて微笑んだ
黄色はこの国の象徴。そして王女の色でもある。やはりこのドレスを選んでよかった
そう思いながら扉の向こうで待っているお付きの者たちと交代する

『おはようございます、今日も王女をよろしくお願いしますね』
「えぇ、それはもう綺麗にしてさしあげますとも」

…微塵にも思っていないくせに…白々しい
貼り付けた笑みを向け、お付きの者たちから離れ、王女の好きな紅茶を入れに向かった
昨日はアッサムだったから今日はアールグレイにしよう
きっとお付きの者たちのせいで疲れ切っているだろうから程よい熱さにして…
あぁ、また温いと言って返されるだろう。それでも王女が言うのだから仕方がない
苦笑しながらも紅茶を持って王女の部屋に向かう
案の定少々疲れ切ってしまった王女を見てまたも苦笑をしつつ紅茶を手渡す
少し飲んでからいつもの一言

『……温い…』
「申し訳ございませんでした。ただ今すぐに取り替えて参ります」

すぐさま紅茶を受け取り、一礼をしてから煎れに行く
王女が素直ではないことはよく知っている
だからさっきと同じ熱さで煎れてから王女の部屋へ
王女に手渡せば、ほら、もう何も言わない
これもいつものこと
こんな何気ない日常が嬉しいなんて言ったら王女にどやされてしまいそうだけから心の中で微笑んだ

王女が紅茶を飲み終え、一段落してから王女と一緒に執務室へと向かった
扉を開けて王女を中に入れてから書類を片手に黙りこくる王女
その様子を見ながらぼーっとしていた
民衆からは、王国が取り立てる税を減らしてくれと催促がきていたはずだ
まだ王様…王女のお父上がいらっしゃったときはそれほどまで酷くはなかったが、王女が即位してから国は変わってしまった
民衆をほったらかしにして、新しいドレスや美味しい食べ物、数々のものを無駄遣いしていると言えるだろう
何度街に行ったとき、民衆に引き留められ涙を流されたか…
けれど僕は何も言わない。王女を守ること、それこそが僕の役目
例え王女が「悪の娘」と呼ばれ、この国が終わろうとも…

なんて考えに耽っていたらいつの間にか大臣が渋々と下がっていった
きっと王女は民衆たちの取り立てをあげろと言ったのだろう
相変わらずのことだが、やはり苦しい
僕が民衆だったら王女を恨んでしまうだろう…

『どうしたの?』

王女に問いかけられても曖昧に返事しかできない
いつものことだから…と、言い聞かせ、僕はその後いつも緑の国へと出かける
紅茶を買いに…なんて王女には言ってあるけれど本当は…

「あら?また来てくれたの?」
『こんにちは。今日も良い紅茶はありますか?』

緑の国で出会った緑の娘
街であの子を見かけたとき心が飛び跳ねた。けれどその理由がわからなくて…
それからこの子が紅茶を売っていると知っていつも通っている
優しげな声と笑顔、それが嬉しくて、恥ずかしくて
今では大分親しくなり何気ない会話ができるようになれたけど…
きっと、あのときに一目で僕は恋というものに落ちたんだと思う

「いつものでいい?」
『お願いします。あ、後ローズももらえますか?』
「うん、ハクーっ!あれ取ってくれる?」
「えっと…はい、これ」
「ありがとうハク。ぁ、これいつも買ってくれるからそのお礼だよ」

そう言って渡されたのは手作り感溢れる一つのピアス

『え…、いいんですか?』
「うん、いつもありがとう」
『こちらこそありがとうございます』

そう微笑めば一緒に笑ってくれる二人
この何気ないやり取りが嬉しい
会釈をして帰ろうとしたときに、慌てたように声をかけてきた

『私、ミクよ。こっちはの白い髪がハク。また来てね?』
「…僕はレン。ありがとう」

そう微笑み、店の外に出た
…顔が赤いのがばれてしまってはいないだろうか?
不意打ちは卑怯すぎる…あの笑顔……ミク、と言った緑のあの子

『可愛かったなぁ…』

そう呟き、雑念を払ってから王女が待っている城へと戻った


そんな毎日を過ごしていたある日
青の国の王子から手紙が届いた
その手紙を持ちながら王女に紅茶を届けに行く
ここから…いや、もう歯車はきっと回っていたんだ…

『王女様、青の国の王子からお手紙が届きました』

紅茶を受け取った王女はその一言で目を見開き驚いていたので急いで手紙を手渡した
仕方ない、王女は青の王子に一目惚れし、ずっと思い続けていると聞いた
思い人からの手紙なんて嬉しい以外の何者でもないだろう…
だからいつも王子に会った後は、王女から王子の話を聞かされる
今回も同じように何が書いてあったか嬉しそうに教えてくれるだろう
…そう思っていた、けれど王女は手紙を読んだ途端に酷く辛そうで…

『王女…?どうなされましたか?』

そう聞いても返ってくるのは拒否の返事
こうなってしまっては手だてがない
潔く今日は下がるしかないだろう

『…かしこまりました。ご用がございましたらお呼びください』

それでも王女が心配なのは変わりない
チラッと王女を見てもベッドに顔を埋めている状態
一体手紙には何が書かれていたのだろうか…?
…その内容は国全体に広まり明らかになった

「なぁ、青の国の王子が悪の娘の求婚を断って緑の国の町娘と婚約したって本当か!?」
「あぁ、本当らしいよ」
「これでまた取り立てが厳しくなったらたまったもんじゃないよ」
「だが…悪の娘にはいい薬なんじゃないか?」
「悪の娘も王子に捨てられたってことさ」

民衆の高笑いが嫌でも聞こえてくる
今すぐにでも殴りにいってやりたい。けれど今は王女が最優先
あの日から部屋から一歩もでなくなり、執務も滞り、食事さえもままならない
どうやったら王女が回復してくださるか…
そう考えても良い案がなく、王女の好きなブリオッシュを焼いて持って行く

『王女、今日のおやつはブリオッシュですよ』

そう微笑んで近くのテーブルに置いても王女は見向きもしない
今日も…か…仕方ない…出直そうと思った矢先

『…ねぇ……』

王女の声は掠れ、目は赤く腫れていた
けれど久しぶりに話してくれた王女が嬉しく、つい微笑んでしまう
しかし、次の一言はあまりにも残酷だった

『‘     ’』

僕は何も言わない、そんな僕の様子を見て王女ははっとしたような顔をした

『……それが王女の願いなら』

そう、それが王女の願いならば僕はその願いを叶えるのが役目
心配させないように王女に微笑みながら、頭を撫で、部屋を立ち去る
扉を閉めた後、自室へと向かう

王女は憎しみのあまり気が触れてしまったのだろう
けれどそれを止めることは僕にはできない

向かう先は緑の国
兵士たちを付き添えて僕はただ向かった
兵士たちは各自緑の国を赤く燃やし、人々を殺めていった
僕はそんな中、静かに微笑む彼女を見て微笑む
彼女だけは助けたい…そう思っていたのに

「私、青の国の王子と婚約が決まったの」

その場にそぐわない微笑みを向ける彼女を見て、胸が苦しくなった
そう、王女の恨む人は彼女…僕の愛した女性だった

『…着いてきてほしいところがあります』

そうか細く呟けば彼女は微笑みを絶やさず僕の後に着いてくる
着いた先は深い深い井戸の前

「レン、私、あなたが黄の国の…悪の娘の召使って本当は知っていたわ」

ふっと立ち止まった彼女の言葉に耳を疑う
どうして…

「シナリオはもうすぐ終焉を迎える。あなたも本当はわかっているでしょう?」

僕は何も言わず、ナイフを取り出し、哀しそうに微笑む彼女を見つめる

「レン、私、あなたに伝えたいことがあるの」

死ぬとわかっていて何故逃げてくれない?
僕はあなたを殺めたくないのに
そんな僕を知ってか、僕に近寄りナイフを握った手を優しく包み込む

「私、あなたのこと」

‘      ’

そう呟いた彼女は赤い花を咲かせ、僕の方に倒れこんだ
彼女の耳を見れば微かに揺れる、片方だけの手作り感溢れる緑のピアス

『ありがとう。いつか、また何処かで』

彼女を抱きしめながら闇に包まれた空を見上げた
静寂が続いた街に雨が降りしきる
この雨ならば少し経てば街は鎮火するだろう

やけに冷たい雨が頬を流れる…
これは誰の…―
その答えは誰も知らない








続きます←

リアル多忙でしたが、ようやく落ち着きました。
復帰します!

歌ってみた&歌詞小説投稿*

・・・今更ながら小説見て恥ずかしくなったとか言えない・・・

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