レイジ
ピアプロID: satoshireizi
レイジです。
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ハーツストーリー80
第六章 悲劇 パート3
ウェッジ率いる二千の決死隊が無謀なる尾根越えを開始したのは十月も下旬に到達した頃合いである。平地では実りを迎える季節だが、高地では一足先に、まるで駆け去る様に秋が過ぎ、時折木枯らしのような冷たな風が吹き始める。尾根は果てしなく広がり、その果ては何時までも見通せない。大きく伸びる頂にしがみついたかと思えば、その直後に奈落までも続くような谷底への道を歩む。常識では考えられぬ行軍であった。現在でこそ、ミルドガルド山脈は各地からの登山道が整備され、ある程度の経験と装備さえ整えていれば誰であっても踏破できる山となっているが、それは先人たちが道なき道を切り開いた結果であり、革命戦争当時、ウェッジらが目指そうとする道のりを歩んだ経験のあるものは一部の狂人と魔道を求める魔術師が僅かに存在する程度、獣すら姿を現わさぬ超高地にはけもの道程度のガイドすら存在しない、まさしく未踏の地であった。
そのミルドガルド山脈は地質学により、その発生のいきさつが現代から起算して五十年ほど前に発覚している。古代人類がその姿を現すより遥かに以前に、旧黄の国の領域は大陸から分離された孤島であったという。それがミルドガルド大陸に衝突し、大陸を押しのけ、やがては最高標高四千メートルを越える大山脈に発達したのである。山頂付近での発掘調査によれば、少し掘るだけで貝類や魚類の化石が発見される。これがかつてこの山脈が海底の底に眠っていたことの確たる証拠であるという。また、高度二千メートル以下は深い森林に覆われ、複雑で豊かな生態系を構成しているが、それ以上の高度より獣らは徐々に姿を消し、三千メートルを越える頃には木々も姿を消し、残るのは岩場にへばりつくように生息するハイマツの群生と小型の昆虫類、それに僅かな鳥類ばかりとなる。彼らの姿も山頂付近では姿を消す。残されたものは太古より変わらぬ姿を抱く、まるで異界に訪れたかのような殺風景な岩石ばかりであった。
「ホント、」
ウェッジが言った。声を出しながら、息を深く吸う。
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ハーツストーリー79
悲劇 パート2
「随分な賑わいですね」
遠路はるばるザルツブルクを訪れた女性がいた。フレアである。革命軍が快進撃を続けてこられた理由はこのフレアの存在が何よりも大きい。どんどんと拡大を続ける革命軍の食糧事情を一手に引き受けてなお余りある才を発揮していたのである。フレアはキヨテルと共同で増産策を取る一方で、ミキやリリィを始めとしたミルドガルドどころか全世界に渡る物流網を確立し、新大陸から、ルーシアから、東方から余りある資材を調達し続けていたのである。特に著名なものは革命軍が起こるより以前、ルワールへ蟄居した際から構築を始めていた灌漑網の整備である。これによりルワールはそれ以前と比較して二倍近い増産体制を整えることとなり、これが今になって大きく響いていたのであった。現在のフレアの肩書はゴールデンシティ主席である。帝国時代に低迷していた物流と農産の活性化を怒涛の勢いで進めていたのである。
「なんだかんだ、軍も二万を越えたしね」
リンが笑う。彼女の要望で、納品のついでに視察に訪れたのである。
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ハーツストーリー78
第六章 悲劇 パート1
膠着が、続いていた。
ミルドガルド南東に位置するリンツである。グリーンシティを抑え、旧緑の国の領域は商工ギルドの手により半自治区として独立状態にあった。以前は青の国と緑の国の国境に位置しており、従来は防衛拠点として重視されていたが、帝国による統一ののちはその重要性が失われ、細々とした宿場町としてのみ存在を続けていた街である。
リンツ戦は、ガクポ率いる傭兵部隊によるリンツ占拠を端に発している。
リンと共にグリーンシティを奪回したのち、ガクポは傘下の傭兵部隊二千名を引き連れてリンツを急襲、グリーンシティ陥落により混乱に陥っていた帝国軍を一蹴する。そののち、テトが中心となって招集した義勇兵を合わせ、既に五千を越える部隊に成長していた。義勇軍とはいえ、旧緑の国の残存兵や国人衆、そして統一により行き場を失くした荒くれ者どもを中心とした軍である。
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ハーツストーリー77
第五章 祖国奪回 パート7
「本当に、よく許可を得られましたね」
セリスが呆れたように言った。晴天の最中、リンを大将とした革命軍は一路ルータオへの道を進軍していた。
「だって、放置もできないし」
けろりとリンが答える。赤騎士団とロックバードの本隊がザルツブルグへと進軍したのち、リンは一千の兵を率い、ルータオ奪回作戦に向かっていたのである。当然、ロックバードが烈火のごとく反対したのは想像に難くないだろう。
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ハーツストーリー76
第五章 祖国奪回 パート6
天主からの援軍が丁度東門へと駈け出そうとしたとき、その兵らは目の前に現れた赤騎士団の姿に度肝を抜かされる羽目になった。軍を移動させるために目一杯に開かれた城門めがけて、およそ千名の革命軍がまるで一本の槍のように帝国軍を切り裂いていったのである。その様子は執務室で指揮をとっていたシューマッハにもよく見えた。仕組まれた、と気付いた直後に伝令兵が駆けこむ。
「元帥、既に反乱軍が城内に乱入した模様!」
「兵は何をしていた!」
「は、それが……」
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ハーツストーリー75
第五章 祖国奪回 パート5
帝国軍に、混乱が広がった。
そもそも城門がこれほど簡単に抜かれるなど、帝国軍の誰ひとり想定していなかったのである。そして、帝国軍の構成も不運を呼んだ。上意下達を徹底することで精強な軍を確保していた帝国軍ではあるが、予想の範疇外で次々と発生する事態に対応しきれず、城内に乱入した赤騎士団に次々と各個撃破される羽目になったのである。その状況をしかし、シューマッハはただ傍観していた訳ではなかった。どこから反乱軍が降って湧いたものか見当はつかなかったものの、東門を攻めるロックバードとの合流を目的としていることは一目瞭然であった。ならば、とシューマッハが結論を出そうとした時、その男が執務室に乱入したのである。
ハンザであった。
「ハンザ少将、持ち場は?」
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ハーツストーリー74
第五章 祖国奪回 パート4
ゴールデンシティ総督府、言わずと知れた黄の国王城の歴史は創設者たるファーバルディ大王の時代にまで遡る。当時のゴールデンシティ周辺は至る所に芦が生える湿地帯であったという。だからこそ、当時大陸を支配していたフラン帝国をして重要な拠点とは見なされなかったのである。当時の中心部は現在のグリーンシティ周辺であった。フラン帝国以前のアテネア王国が旧緑の国を中心に設立されたからであり、その後釜となったフラン帝国もグリーンシティ周辺を拠点としたためである。当時のゴールデンシティ周辺は正確には統一国家の存在しない、原野だけが広がる人口過疎地帯であった。
だからこそ、ファーバルディ大王は反帝国に足る戦力を着々と蓄えることができたのである。一説によればミルドガルド大陸西方に位置するグランド諸島出身の海賊とも噂されるファーバルディ大王はゴールデンシティを端として、現在のルータオからザルツブルグに至るまでの、旧黄の国北方地帯を支配し一大領主としてその名を上げた。後の歴史は誰もが語ることである。青の国を設立したスノッリ、緑の国を設立したエッダと共闘してフラン帝国を撃破、ミルドガルドは三国時代へと突入する訳である。
さて、余談が過ぎた。ゴールデンシティ総督府である。
現在の形となったのは第五代国王レイシアの時代であると言われている。ファーバルディ大王の治世下では敷地も狭く、また天主も存在してはいなかった。それを歴代の国王が徐々に改築し、拡大し、湿地を埋めたて、開墾し、そしてレイシアの代に天主が完成し、現在の姿となったのである。とはいえ、その後も改築自体が終わることはなく、リンの施政下であってもスクラップアンドビルドを繰り返していた、まさに生きる建築物であった。
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ハーツストーリー73
第五章 祖国奪回 パート3
「案外、すんなりとことが進みましたな」
フィリップ市役所の一室でロックバードが言った。フィリップ市を陥落させて数日が過ぎた日のことだ。
「ちょっと汚い手だとは思ったけど、仕方ないよね。それに思わぬ収穫もあったし」
リンは笑顔でそう言うと、アレクが楽しげに頷いた。
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South Nroth Story 特別編 ―冬の出来事― パート3
「綺麗だね、蓮君。」
未来先輩は待ち合わせてから終始ご機嫌だった。場所は大通り公園、イルミネーションが深く積もった純白の雪に反射して幻想的な光景を作り出している。そうですね、と答えてみるが正直、僕には余裕がなかった。何しろデートなんて初めての経験なのだ。時折今頃苦労しているだろう妹のことが頭をよぎるのは少なくない罪悪感を覚えているせいか。とはいえ、それについて深く考えることは不可能に近かった。リンに悪いとは思いながら、正直に今は未来先輩とどうやって今日を過ごすのかを考えるだけで精一杯だったのだ。
「ねぇ、何か飲む?」
イルミネーションの端、テレビ塔の真下にはロッジ式の店舗が出店していた。十店舗程度、スープやらソーセージやら、様々な出店がある。
「寒いですから、温かいものでも。」
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South Nroth Story 特別編 ―冬の出来事― パート2
「寒いね、蓮君。」
寒いと言いながら随分と上機嫌な様子で、未来先輩はそう言った。
「そう、ですね。」
どうしてこうなったのだろう。
そう考えずにはいられない。デートに誘ったのはつい先日。いや、それ以前にも色々前振りがあったのだけれど。
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South Nroth Story 特別編 ―冬の出来事― パート1
ごう、とエンジンが鳴った。
どうやら下降を開始したらしい。気流に突っ込んだのか、びりびりとした振動に俺はそれまでの午睡を中断させられることになった。ぼんやりと瞳を開けて、視線を景色へと移す。だが、見えるものはただ一面の灰色の雲ばかり。どうやら先ほどの揺れは雪雲に突入した衝撃によるものであるらしい。
テーブルには飲みかけの、冷え切ったコーヒーが放置されていた。機内サービスで提供されたものだ。このまま捨てるのは勿体ないと、俺は残りのコーヒーを飲み干す。旨くも不味くもない、妙な苦味だけが味覚を刺激した。
『間もなく当機は新千歳空港に着陸致します。』
アナウンスが流れる。フライトアテンダントがそれぞれの座席について、シートベルトを締めた。時計を見る。着陸予定時刻まで、あと十分ほど。どうやら予定通りのフライトであったらしい。
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ハーツストーリー 72
第五章 祖国奪回 パート2
それから、三か月余りの時が過ぎた。
田畑が実り始め、そろそろ秋の収穫を心待ちにする季節である。内務官の連中は農地改革令通りに税務処理が収められるかどうか、気をもむ毎日を過ごしている様子だった。とはいえ皇妃であり、武人であるアクにとってそれは関係のない業務で、ただ日々の日課としているバラートとジョゼフ、三人でのアフタヌーンティーを楽しむ毎日を過ごしていた。
とはいえ、その全てが以前と同じだった訳ではない。
用意される茶葉は以前楽しんでいたものよりも低級なものへと変わっていた。アクの意向によるものである。そして、身なりも。
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ハーツストーリー 71
第五章 祖国奪回 パート1
もう、一年も経ったのか。
バラートを連れて、久しぶりにお忍びで帝都市街へと赴いたアクは、不意にそう思うとその足取りを止めた。
「皇妃様?」
怪訝そうに、バラートが訊ねる。
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ハーツストーリー 70
第四章 ガクポの反乱 パート7
「レン様、帝国軍全軍の降伏が完了いたしました。」
ガクポがそのような報告を持って訪れたのは、ハンブルク将軍を討取ってから一時間余りが経過した頃合いであった。場所はグリーンシティ総督府の三階、元々はミク女王の謁見室として利用されていた広間である。御苦労さま、とリンは答えて、漸く気を許したような溜息を洩らした。
「予想よりも素直に事が進んで良かったわ。」
「これもレン様のご采配の賜物です。」
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South Nroth Story 特別編 ―秋口の出来事―
South North Story 特別編
秋口の出来事
北海道大学のキャンパスは、流石旧帝大というだけあって、相当に広い。
リンとリーン、二人の妹と別れてから、一月余りの時間が過ぎていた。夏季休暇はとっくに終わり、後期授業の履修届など、何かと忙しい秋口のことである。
そして鏡蓮は、教務課へと履修届を提出し終え、少し疲れたような吐息を漏らしてキャンパスの椅子に腰かけた。
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クローバー・クラブ
さて、人類というものはその歴史が始まった当初から、アルコールとの長い付き合いが始まったそうです。お酒を初めて作った人間は誰かという問いに答えるだけの知識を我々は持ち合わせてはおりませんし、文字が生まれるよりも遥かな過去から人間はアルコールに手を出していたのですから、そもそも探ろうということが不毛というものです。
一応、考古学では七千年前にお酒の痕跡を発見していますけれど。
ともかく、こうして世の中が厳しくなるとついつい、アルコールに手が伸びてしまうもの。
いや、それは言い訳かもしれませんね。どれだけ幸せでも、お祝いと称してついついお酒に手を出してしまうのですから。
なんだか言い訳がましいことを敢えて言わせて頂くと、人類とお酒とは切っても切れないパートナーなのではないかとすら思ってしまいます。