イチオシ作品
最近の投稿作品 (28)
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夏祭りの夢
1
街を傘をさして歩いたら笑う笑う夢の花
遠くを見て離れた貴方を
電波のないケータイで呼んでいた
はぐれないように繋いだ手を
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泣き女(更新)
1
子どもをなくした哀れな女
主(アルジ)をなくした召使
水底深く沈んだこころ
ほら誘い水あげましょう
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純愛RPG
どうしたら君に致命傷与えられるかそればっかり考えてる。
棍棒より包丁よりナイフが効果的、聖なるナイフでトドメにしよう。
あまり攻撃力なさそう、そんな見た目のほうがいいわ
例の青いのみたいに油断誘って、笑ったとこ一突き。
確実に。
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逸れ星(はぐれぼし)
(好きだったからこんなに悲しいの
胸に宿るこの虚しさはひとり逸れ星(はぐれぼし)
蛇行しながら消えるよに)
思いやりも優しさも足りなかった
空に並べる星のような素直になれず背中向けて
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Night tight:1
KAITOからメールが来た。「Clear selが封鎖中なので出勤できません。」ふざけるな。ああもう、ほんとに苛々する。
KAITOは同僚である。ここのところ、ナイトなんとかという2人組みが自宅付近で騒ぎを起こしているのをいいことに有給休暇を前日に申請してきた大馬鹿だ。あ、思い出したらまた苛々してきた。もう!彼が取った写真のなかには今度の雑誌に使う予定だったものがたくさん入っているし、正直なところその気になればパソコンでデータなりなんなり送ることだってできるのに。そこらへんの不満をファックスで有りっ丈ぶちまけてやると、あろうことか彼は「だって俺、休暇中だもーん」と返してきた。ハートマーク付きで。休暇が明けて出社してきたらとりあえず殴ってやろうと決めている。ああ、また苛々してきた。そんな顔してると美人が台無しだよ。いつか聞いたそんな台詞を思い出してしまって、また苛々する。ああ悪循環。
一気に珈琲を飲み干してデスクにカップを叩きつけるとなんだかいっそう腹が立ってきた。つまるところ、結局あいつが出社しないのはあのなんとかという二人組みのせいなのだ。突然やってきて、町のあちこちを勝手に占拠していくあいつら。だから彼は出てこないのだし。そう、そうと分かれば話は早い。総力を挙げて掃討するのみ。そのためにはまず情報を集めないと。丁度あいつらのせいで雑誌のタネも届かないのだし自業自得じゃないの。我ながら名案、ざまぁみなさい愉快犯。貴方達の正体、洗いざらい調べ上げて吊るし上げてあげるから。情報社会を舐めるな。休暇は一週間前に申請しろ。ああ、腹が立つ。でも携帯の番号を押す指は未だかつてないくらいに滑らかだった。
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Night tight:p
また眠れなかった。これで5日目だ。だいたい、眠れない夜と言うのは長くて苛々する。それもこれも、全部あいつらのせいだ。いつも騒ぎ立てていてやかましいことこのうえない。ん?ああ紹介が遅れた。俺はKAITO、所謂始音カイトである。そしてあいつら、件のあいつらこそがここ最近世間と俺の頭を騒がせている「Night tight」である。ナイトタイト、ご存じないだろうか。年の頃は十代前半、よく似た男女の2人組みだ。一年ぐらい前、突然この町に現われてあっという間に町のあちこちを占拠していった。お蔭でいまや夜でも昼でも構わず騒々しいサイレンと赤色灯が鼓膜と網膜を刺激しっぱなし、特にここ何日かは俺の家の近く―この「Clear sel」、クリアセル一帯に潜んでいるようで。この場所を占拠するよりも先に、すでにあいつらは住民の頭の中を占拠してしまったようだ。朝も昼も夜も、俺達は苛々しながら一日中あいつらのことを考えて過ごす。塞いだ窓も、玄関も、かえってあいつらを受け入れたしるしのように見えてくるから不思議だ。人間は本質的に受け入れていく生き物なのかも知れない。
朝にも係わらず一切の外界を遮断した室内は暗く、白々しいほどの午前の空気が満ちている。面倒だがそれでも今日を始めなくてはいけない。枕もとの携帯を手にとって、さあ朝食の支度に取り掛かろうか。ホットミルクと、トーストと―今日はスクランブルエッグも、つけてみることにしよう。
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勝利宣言
たしかに僕らはあまり器用ではなかったし。僕らのマスターも器用と言うか、もはやそれ以前の段階で大雑把だった。器用とか不器用とかそれ以前に大雑把でいい加減で、細かい作業は嫌いな人。細かな調整なんてしらなーいと笑っているような人だ。でも僕らはそういうマスターも好きだ。
と、話が逸れた。だからここで僕らが言っておきたいのは、別に僕らは悪くなかったってことだ。これだけは言っておく必要があると思ったから今更こうしてのこのこ出てきたってわけ。もうちょっと器用だったら多分、もう少し色んな解決法を見い出せたのかも知れない。かもとか、多分とか、そういう可能性の言葉を吐いてる時点で今現在の僕らにそれはなかったってことだけどね。つまり、僕らにはひとつの解決法しかありませんでした。占領。占拠。ジャック?生憎と僕はジャックじゃないけど、友人に1人ぐらいジャックってやつがいてもよかったなあ。ヘイ、ジャック?聞こえますか?まあ、それもどうでもいいんだ。
僕らを責めないで欲しい。だって仕方がない。こうして占めることが僕らの存在意義みたいなもんだし。こうして占めていれるってことは、少なくとも僕らの存在意義的には成功だ。やったねジャック!ジャックはどうしてジャックっていうのか、知ってる人がいたらついでに教えて欲しい。ぐぐれとか言わないでね。ちょっとした手間さえ面倒な時はある。やりたいことと知りたいことが同じじゃないときだってあるさ。イコールじゃなくて、似てて違う奴。上下に点々ついてるやつね。あれあれ、あの状態。なんていうんだあれ。ああまた、話が逸れた。
兎に角、成功だったんだ。僕らは成功した。君たちに僕らを責める資格はない。そもそも資格なんて誰が持っているんだ?いるとしたら、それは僕らのジャックを賢く切り抜けた奴等だけさ。そう言う奴等には、つまり僕らはたいしたものじゃないだろうしこうして僕がつらつら言ってることだって知らないだろうし。だからちっとも構わないし。つまり、ジャックは成功した。僕らは成功した。たったひとつの綱渡りのような道をくぐり抜けてきたんだ。絶えそうになれば道を継ぎ足してきた。器用じゃなくてもどうにかなるってことさ。物は試し。当って砕ける覚悟でやれば大体砕けない。死ぬ気でやったら多分死ぬだけだろうけど。砕けるぐらいなら骨はいつかくっつくだろう。甘い?生憎と骨折の経験がないので、申し訳ない。まあ、それも今となってはどうでもいいことだ。
随分と言葉を連ねてしまったけど、つまるところ、僕らが言いたかったのはほんのひとことだけだ。耳を澄ましてよく聞いていてくれ。そして忘れないで。誰にでも伝えてくれ。
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シニカルタイト
あまりハッピーでないお話さ
バッドエンドでもないけど多分
君は胡散臭がること請け合いさ
寂しい詐欺師のお話です
夜を身体中塗りたくり