Rusha
ピアプロID: rushan
しがない物書き。
詞(詩)まがいの何かや
小説や散文を書きます。
大体においてロック脳。
UTAUでカバーもやってます。
VOCALOIDはMEIKOの体験版だけ。
使用音源
デフォ子(g+20)、穂歌ソラ、赤穂
基本的にこの三人のユニット
マイペースかつフリーダム
http://www.nicovideo.jp/user/24634035
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最近の投稿作品 (30)
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Mirror of the Divine(仮)
抱いた想いはうたかた
浮かぶ祈りも足りない
「何度願えば叶う?」と
吐(つ)いた言葉は風にまじる
映り込む影を 束ねだした
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(7)
7.失われた日々へ
私はまるで、焼け野原に立っているような気持ちでした。そこへ放り出されたのは一瞬のことです。
黒く巨大な怪物のごとき圧力と重低音が目の前の空間をねじり取るように横切り、クラッシュ。光が水袋をわったようにバッとはじけて、頭と体をぐらぐらと激しくゆさぶりました。
それがおさまり、視界が開けたかと思うと今度はガソリンくさい煙がもくもくとわきあがって、またたく間に目の前をおおいつくしていきます。その中で赤い蛍のような火の粉がはかなげに舞っていました。
鼻の奥がつんとして、目はチェーンソーでガリガリ削られているよう。そばにいたはずの誰かを探して、鋼鉄の糸を引くように必死にのばした腕の先には……その先には――。
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(6)
6.孤独の戦い
マスターが作った次の曲は、エレキギターと私の競演によるロックでした。彼は物静かで穏やかな気性ですが、学生の頃からロックのとりこなのだそうです。
マスターは打ち込んだエレキギターの音と私の歌声を何度も調整しながら、それぞれがもっとも良く響き合い、魅力を引き出し合うメロディを作り上げました。
とても情熱的で、若々しく、活力に満ちた曲です。私のパートにはやはり歌詞がありませんでした。かわりに合いの手のような不思議な語が楽器と共に私の声で奏でられています。
マスターの作った一つ目の曲『オリジナル1』を聞いてくれた人たちは、マスターが私を歌手としてではなく楽器として扱っていることを理解してくれました。それも一つの形だろうと。
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(5)
5.見えない音の世界で
先日作った曲には、結局歌詞はつけられませんでした。
とは言うものの、具体的な意味を持つ言葉が使われなかったというだけで、もちろん私の歌声は入っています。マスターは、曲に一番合った私――初音ミクの発声と音を探してそれを伴奏に乗せたのでした。
きっと初めて耳にした人は驚くでしょう。外国語や、単なる「あー」や「うー」というコーラスではなく、私の声をしたまさに楽器の音色なのですから。
そう、マスターにとって歌声は楽器と同じなのです。歌詞という言葉による意味ではなく、音の良し悪しやその音がはたす役割を重視し、そこから生まれる曲の世界を大切にしていました。
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小説設定メモ
これは、拙作『リトル・オーガスタの箱庭』http://piapro.jp/t/BkVq のための設定メモです。
SFテイストで特殊な用語や独自設定があるので、少しまとめてみました。
随時増えます。
■主な登場人物■
初音ミク:語り手。機械の体を持つVOCALOIDです。
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(4)
4.KAITO
マスターの仕事の帰りに片目の猫を拾った私たちは、その足で一番近くにある獣医の下へ行き、そこでできる限りの治療をしてもらったあと、薬をもらい、ペット用品を扱っている店でトイレ用の砂やら子猫用のご飯やら、当面必要と思われるものを買いこんで家に帰りました。
荷物を持つのはカイトの役目です。本当は、私も彼と同じくロボットなので重い物を持っても平気なのですが、私が手伝おうと手を出すよりも早く、カイトが一人で全部運んでしまいました。その顔は少しもつらそうな様子がなかったばかりか、どこか楽しそうに見えたほどです。
彼は家に着いて早々、配達員が何か小包を持って呼び鈴を鳴らした時も、普段以上の笑顔で出迎えていました。
それから、カイトがマスターの夕食を作っている間に私とマスターは猫の身体をふいたり薬を飲ませたりで大騒ぎ――と言っても声をたてていたのは私とその猫だけでしたが――ようやくきれいにして専用の寝床に寝かせた頃には、マスターばかりか私まで疲れてしまったような気がしました。
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(3)
3.楽器屋と猫
曲が完成した翌日、私はマスターの調律の仕事に同行しました。向かった先は隣町に住む、昔からのマスターの友人だという楽器屋さんの家です。お店には売り物のピアノは一つもなくて、おじいさんや、その前の世代からずっと大事にされている、お友達が個人で所有している自宅のピアノの調律をするのだとマスターは教えてくれました。
見えない目でキーボードを器用にあやつり、マスターがパソコンの画面に打ち出す文字が彼の「言葉」です。でもマスターはその方法を好んで使おうとはしませんでした。もともと口数が少ないのか、単に面倒くさがりなのかもしれません。
「私も一緒に行っていい?」
そう尋ねた私に彼は「いいよ」というたった三文字を打つ労力さえ惜しんで、黙然とうなずいただけだったからです。
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(2)
2.手を取って、鼻歌でワルツを
「ねえ、マスター。この写真、マスターの家族?」
窓辺にひっそりと置かれている写真立てをのぞきこみながら私が言うと、マスターはぴたりと手を止めてピアノから顔を上げました。
彼の奏でるピアノの音色は電子楽器の自動再生では決して出せないような、とびきり美しいものです。だから私はいつまででもその音を聞いていたいと思いましたが(何しろ機械の私には「あきる」ということがありません)、マスターは少しずつ旋律を変えながら何度も同じところを弾いていたので、きっと作曲に行きづまったのだろうと私は考え、気分転換になるだろうかと声をかけてみたのです。
私が来てからこの一週間というもの、マスターはひまさえあればピアノに向かっていました。彼の仕事はピアノの調律師で、今や電子ピアノではない、調律が必要なピアノを持っている人はごくわずかでしたので、つまり彼は七日の大半をピアノを弾いてすごしていたことになります。その集中力は、まるで疲れを知らない機械のようでした。
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【小説】リトル・オーガスタの箱庭(1)
街へ出かけた帰り、何年も何十年も踏みしめてきた道をカイトと一緒に歩いていると、ふいに誰かに呼ばれた気がして私はその場に立ち止まった。地面に落ちた夕暮れの長い影が一瞬だけゆれて、私とそっくり同じに動きを止める。
「ミク?」
昔からの習慣で私よりも一歩先を歩いていたカイトが私の名前を呼んでふり返った。
さっき聞こえた声はもちろんカイトのものじゃない。ずっと響いている勇ましいセミの合唱とも違う、もっと弱々しい声だ。
「猫」
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【KAITO】サーチカイト【歌詞】
君が開けていった窓を僕は閉められずにいる
夜毎落ちる星と共に君が戻りやしないかと
捨て忘れたゴミくずの中に君の面影を探す
君が貼り付けた壁のメモを見ないようにして
遅すぎたと君はいった
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散文
君に声をかけたいと思うのに届かない
ひびわれた大地に横たわる巨大な亀裂がきしみ
足を引きずり頭をたれてさまよっている君のかわりに悲鳴を上げている
その音にかき消されて俺の声は届かない
とても小さな俺の声など
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【KAITO】Whiteout【歌詞】
太陽 のない 朝が来た日から
空は 白く 漆喰(しっくい)で固められ
街を 歩く 人は灰になる
骨が 肉が 影を目指し出す
(chorus)
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【KAITO】迷走@ザ・パンプキンヤード【歌詞】
カボチャ畑のジャックAが言うことには
お前には華がたりない
そんなわけで華を探しに森へ行ってみた
カボチャ畑のジャックBが言うことには
お前には声量(パワー)がたりない
- 世界樹
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世界樹
病気になった時のことを思い出した
この世で苦しんでいるのは私だけだった
世界中の不幸はどこにもありえない
空を丸めた筒をのぞいている気がした
私の喉は痛むことを知らず
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