オレアリアさん

 初めての方は初めまして、オレアリアと言います! 最近、さりげなく名前変えました(笑)

タグ「VOCALOID・HEARTS」の付いた投稿作品(34)

「VOCALOID HEARTS」~第31話・陰忍部隊~

 無数に広がる、吸い込まれそうなぐらい深々と続く、暗い暗い竹藪。そこへ、程好い涼しさを運んでいた風も、夜が更けるにつれて、徐々に冷たく感じられるようになってきた。体の芯まで、すぐに冷えてしまいそうなほどだ。妙な寒気が体に走る。そしてそれは何かーー更に『おぞましいもの』の到来を、予感させるようでもあった。
 神威道場の師範・神威がくぽを狙った暗殺計画は、甲斐なく失敗に終わろうとしていた。平和統括理事会の放った刺客「陽忍部隊」は、洗練された動きと装備をもってして戦いに臨んだが、すべて侍の刀の餌食にーーそう、先程までがくぽの首を必ず取ると豪語していた忍たちも、今や死屍累々を築く山の一つ一つと化していた。戦いとは、つくづく無情なものである。そこかしこに佇む屍たちは、語らずして無念の思いを語る。
「くっ…我が腹心をみな切り捨てただけでなく、この我さえも打ち負かすとは…!」
「勝負あり。貴殿らの負けだ」
 鋭く、鈍く光る刀を突きつけながら、がくぽは言い放った。忍者部隊の長であるソガシは、致命傷こそ負わなかったものの、刀を握り締めていたはずの屈強な右腕は¨消えて¨いた。彼の右肩からは剥き出しの内装が見え、無数の細い鉄線が垂れている。時折、小さな火花を起こす様も。

オレアリアさん

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2015/01/05 22:51

「VOCALOID HEARTS」~第30話・陽忍部隊~

「今宵の月は、少し陰りが見えるな…」
 神威がくぽ、神威道場の師範。彼はいつもの厳しい稽古を和音マコに施した後、夜も更けた竹藪の入口の石に腰を下ろして休んでいた。僅かな夜風が、草木の葉を飛ばしてくる。そんな空気の中、がくぽは一人涼んでいた。彼は酒も飲まなければ、煙草も吸わない。口にするのは、一汁三菜の倹約した食事だけ。それは何故だろうか。酒煙草は油断と慢心を招き、余計な食べ物は身も心も肥えさせてしまうからだ。
 そして、がくぽは数日前、MARTの総長・カイトの願いで、共に理事会に戦いを挑むことを承諾した。しかし、彼はカイト本人にも伝えていたのだが、この決起は成そうが成さざろうが、確実に敵味方共に多くの犠牲を強いることになると懸念していた。争いと潰えた命を踏み台にしたその先に「平和」などというものがあるのか。言ってしまえばMARTも理事会も、やること考えることは違えど、人とアンドロイドの平和を目指そうという理念は変わらないのだ。でも、自分の耳に入ってくるほとんどが理事会の悪いような話。分かっている様々な事実も照らし合わせば、理事会は正に様々な諸悪の根源と言われてもおかしくないような組織。
 だが、そんな「明らかな悪であるはずの理事会」が仮に無くなったとして、本当に全てが良い方へ流れるのだろうか。真の平和というものに向かって。カイトやMARTに対しては信頼しているがくぽだが、どのように考えても、そうした疑問が出てきてしまう。
「…いかん。拙者が、このような雑念を持ってはならぬ」

オレアリアさん

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2015/01/07 00:13

「VOCALOID HEARTS」~第29話・電撃無双~

 もしも亞北ネルという女が、世界のモデル界を魅了するプロポーション抜群の超絶金髪美少女アンドロイドアイドル、なんて存在だったら、どれだけ良かったか…想像していたら、アホらしくなってくる。
 そんな妄想じみたことを考える私は、毎日のように街の警備や要人警護とかの仕事をしている。でも、それは普通の警察活動を行う組織とは少し違って、一都市の軍事防衛を兼ねた「軍警察」とでも言えるか。この軍警察は、通称「AMP」と呼ばれているんだけど、東京の湾内にある大きなアンドロイドの居住区っていうか、特別行政地区っていうか…ああ、も~ややこしい! とにかく、そーいうところを汗水流して守ってるワケ。
 私はAMPの第1師団長・リリィさん直属の部下になるまで、必死になりながら、のしあがっていった。訓練学校を出て下っ端から始まった負けず嫌いな性格の私は、とことん仕事に力を注ぎ、片手間に肉体を鍛え続けた。でも私はそれに物足りず、自分の体を痛めつけてでも、更に体を強化するために研究機関に依頼して自らモルモットになった。その盲目に追い求めた力の代償は、とても大きかったけどね。
 私は戦闘アンドロイドとして、諸々の武器をぶら下げ、時とあれば戦いもやる。すべては、私が愛するAMPが守る街のために。そんな信念があるから、毎日が大変でもこの仕事はイヤじゃない。けど、もっと女らしい仕事がやりたかったなって、今更だけど思ってしまう時がある。心境の変化、ってヤツかな。
「はいは~い、AMPで~す。下がって下がって」

オレアリアさん

オレアリアさん

2013/12/24 20:03

「VOCALOID HEARTS」~第28話・東奔西走する記者~

(…どうしたもんかなぁ)
 家族どうしで職業が違うってのは、別に珍しくとも何ともない。だけど俺は無名の新聞記者、妹は世間で話題のアイドル。こうも差があると、何だか自分が平凡で惨めに感じられる。
 俺は今、リニアに乗って博多から東京に戻っている。この乗り物は、まるで疾風のような速さで走っている。到着に2時間もかからないのに、車内はまったくと言っていいほど揺れていない。これだけすごいと、鈍行列車のような揺られながら移動している感じが、恋しくなるんじゃないか。
 時刻は朝方。博多で妹の喜びそうな土産も買ってやったし、後は最後の取材を終わらせるだけだ。その取材先は、東京の都心に本部があるという「MART」。最近メディアに取り上げられることの多い、アンドロイドの支援団体だ。自分は直接関わったことはないが、妹もMARTに一時期世話になったことがあったらしい。そんなわけで俺も新聞社も、この「MART」という組織に興味が沸いていた。よくないウワサも、一部では流れているようだが…
¨今日も、JTC高速鉄道を御利用いただきまして、誠にありがとうございます。間もなく東京、東京に到着いたします。お降りの際には…¨

オレアリアさん

オレアリアさん

2014/08/28 13:24

「VOCALOID HEARTS」~第22話・狙われた少女~

「連続暗殺事件…物騒な世の中」
 唄音ウタことデフォ子。MARTで支援を受けて社会復帰を果たしたウタは、小さな広告店でうだつの上がらない毎日を送っていた。基本的にやることといえば、街中で昼前から夕方まで延々とティッシュ配り。彼女は正直、そんな仕事に満足はしていなかった。クールで無気力、それでいて人前に晒すことのないサディエストさを持った彼女にとっては、余計に。
 しかしここまできて、ようやくまともな職を掴んだウタは、再びカイトの世話になるわけにはいかないと思い、贅沢は言えなかった。そうして今日も変わらず長く感じる昼休憩の合間に、自分のデスクに弁当を広げて新聞を読んでいた。15歳にはあまり見られない光景だが、カイトに「日頃から新聞を読め」と言われていたので、その習慣が身についているようだ。テレビ番組覧の裏には、連日この¨暗殺事件¨について大きく報道されていた。
 ¨立て続けに起こる暗殺事件。そして昨日未明、30代と見られる男性が都内のマンションで倒れているのを近隣住人が発見した。警察によると男性は腹部に銃撃を受けており、現在懸命な治療が行われている。男性の身元は現在確認中であるが、アンドロイド平和統括理事会の重役であるとみられ、理事会も独自に調査を開始している。警察は殺人未遂の容疑で、以前の事件と同一犯である可能性もあるとみて捜査を進める方針だ。¨
「…寝よ」

オレアリアさん

オレアリアさん

2015/11/06 18:09

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