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【がくルカ】拝啓、となりの君へ

 恋をしている。こう言うとフィクションの物語に影響を受けすぎかと笑われそうだけど、ある日突然彼のことを異性として気にするようになってしまった。
 昔から同じことをやっていたくせに、たまたま触れた彼の手のひらが記憶にあるものよりもずっと大きくて男らしいなと感じて、そうなると腕まくりをしたときにうっすらと浮かぶ血管も、軽く頭を振った時に揺れる紫の長髪も、見慣れているはずの全てに翻弄された心臓は早鐘を打つことをやめない。
 ただの幼なじみで、友達より家族のような距離感がずっと続くと思っていたのに、まさか別の種類の『好き』を抱いてしまうなんて。俗に言う恋人のような関係になったとして、それに準ずる行動を取れるかは正直に言ってわからない。だけど例えば好きな本を読んでいて、隣で一緒に文字を追いかけたり、出かける時は手を繋いでみたり、なんて行為には憧れてしまう。その相手が彼だったら、と想像しては枕に顔を埋めて叫び出したい衝動に駆られるけど。
 隣に座っていても突然距離を取ってしまったり、目が合っても気が気でなくて目を逸らしてしまったり、急に態度が変わったはずの私に彼は何も言わない。少しは変だなって気にしてもいいんじゃないか。かと言って面と向かって指摘されたら戸惑うだろうけど。
 いつまでも私だけがドキドキするのは癪だ。私が今味わっている分の一割ほどでもいいから、逆にドキドキさせてやりたい。多少なりとも同じ感情を抱いてほしいと願うのは私のエゴだ。

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2021/05/23 23:09

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