ハルシュラ

足跡の一つ消え二つ消え
漣は引き　乾いた眼
満ち満ちたるは地獄なれど
過ぎ去りし青は美しく
何故を問うても手のひらに

星霜賛歌

宵闇の一番星は
燃えながらただ逃げていく
指先を掠めるだけで
この胸をともに焦がすだろう
輝き　ひとつ　残すだけ

めぐりめぐりうた

いらされませませ不憫なお方
こちらは冥土の端の端
あらあらそないなお顔されても
あちきにゃどうにもできません
あげられるのは紙と筆だけ

賢き囚人のジレンマ

”とある殺人事件に容疑者が２人。
　２人は賢く品行方正、
　「まさか嘘だ」と人は言う。
　おまけに確たる証拠もない。
　何としても手柄を上げたい警官は、

夕闇にクチナシ

夕闇にクチナシ
黄昏時の学校で、
ふとした拍子に思いませんか。
「自分ははたして誰なのか」
昼か夜かもわからない、

６月のagony

これは喪失感
これは被害妄想
これはやるせなさ
こんな虚脱感
たぶん遠くで鐘の音を聞いた

羊とライフル

ああ、ここから
逃げ出したいな
出口なんてもう
ふさがれてるけど
そら、じゆうに

ロマ×リア

ちょっとくらいの躓きも
繰り返せば痣になる
抉られて　削られて
継ぎ接ぎだらけの自尊心
前だけ見ている直向きさ

円環のウロボロス

出口のない部屋
部屋の中央には円卓
円卓には３人の被験者
被験者の手には拳銃
それぞれのこめかみに

えぐらないで

喉もとの軟い皮膚に爪を立てて
生きてること（イノチ）を感じる　悪い癖
ふさがりかけのキズアトをめくっては
流れる痛みに胸なでおろす
どうか触れてくれるな　それの意味を

コンプレックス14

長い髪が好きと言ったから
アタシは髪を切りました
元気な子が好きとも言ったから
つんとすましておりましたの
鏡に映る姿の

Liar

幾つものヒビに軋む雑音を
くすんだ刃物で削ぎ落とした
僅かに零した希望にさえ
見放されるくらい切望して
揺るぎなきもの