sunny_mさん

・オリジナルマスターの「ばあちゃんマスター」シリーズとか、曲の二次創作とか書いてます。

投稿作品

あなたと私だけの歌【終末ボカロ企画・pixvより】

 目を覚ましたとき、真っ先に目に入ったのは真っ赤な空だった。
 まるで世界が終わってしまうような不安を与える赤く染まった色に目を覚ましたばかりの私は手を伸ばし、そして手を伸ばしきる前、透明樹脂の冷たい感触が指に触れた。意識がはっきりと覚醒していく。自分を囲むのは狭い空間。まるで棺桶のような冷凍睡眠装置。ああ。とまだほんのすこし現在と過去とが入り混じった意識のまま、私は手元にあるスイッチをいくつか押した。ロック解除。かちかち、と自分を収納していた棺桶のようなこの装置のロックが外れる音を耳に届く。本来ならば自動で蓋も開くはずなのだが、長い年月を経たせいで蝶番が壊れてしまったのかもしれない、蓋はほんの少しだけ開いただけで止まった。
 ほんの少しの隙間から入り込んできた、記憶していた空気よりも酸素濃度の濃い、大気。
 重い蓋をゆっくりと持ち上げて外す。湿度も高いのだろう、ねっとりとした質量を有する空気が肌にまとわりつく。私は蓋を無理やりこじ開けて棺桶のような冷凍睡眠装置から起き上がり、外へと出た。
 風が、私の二つに結い上げた長い緑の髪を揺らして、通り抜けた。

閲覧数:550

2013/07/08 14:40

▲TOP