ハロウィンの街
≪謎の始まり≫
隣の家を訪れる。お菓子をくれる魔法の言葉はトリック・オア・トリート。お菓子をくれないとイタズラするぞ、みたいな意味の言葉である。10月31日、毎年恒例のハロウィンに皆変装までして、日の落ちた夜に子供たちが街の中の全ての家を巡って、魔法の呪文を唱えた。まるで歌うように唱えて、甘い甘いお菓子をたくさん、カボチャ型のバケツに入れてもらった。そして、一番最後のグループの三人の子供が、街の外れの家を最後に訪れた。こんなところに家なんてあっただろうかと友達の男の子に再度聞いてみたが、確かにここが最後だと強く主張したので疑わなかった。ノックを二回すると、中から白い肌をしたお姉さんが魔女の格好をして出迎えた。まるで本物みたいだった。コスプレだと思ってそれほど深く考えなかった。綺麗だったし。
「トリック・オア・トリート!」
「ほう、もうそんな時期か。じゃあこれでもくれてやろう。入れ物を前へお出し」
他の人より本格的な口調に内心感動しつつ、三人の子供はカボチャのバケツを魔女の方へ出した。魔女はその上で杖を軽く横に振ると、何もないところから本物のお菓子がどっさりとバケツの中に落ちた。子供たちは声を出して感動した。その反応に、魔女も少し満足そうで、むっつりとしていた顔がご機嫌になった。