【カイメイ】 きみとぼくの答え合わせ 【パカグラ】
サラサラサラサラと、シャープペンシルの芯が淀みなく紙の上を滑る音がしている。
目の前には、癖のないボブカットの黒髪をたらし、一番上までキチンとボタンをしめた、薄ピンクのシャツに控えめなリボン。ふちの赤い眼鏡をかけて長いまつげを伏せ、綺麗な姿勢で黙々と書き物をしている少女がいる。
カイトはその手前の椅子に後ろ向きで座っていた。
背もたれに乗せた腕に顎をくっつけながら、一つ年上の先輩であるその人を飽きもせずに眺めている。いつも装着しているお気に入りのヘッドフォンから音楽は聞こえない。この時間だけは絶対に、彼は手元の音楽プレイヤーの電源を落とすのだ。
ふ、と少女が息をつく。手が止まり、顔を上げて、上半身をほぐすように、ん、と少しだけ胸を張った。