境界線を踏み越えて
例えるのならば砕け散った砂糖菓子
例えるのならば風に泣いたあの花
「それでもかまわない」なんて
わたしの手を引くあなたはね どうして
纏った儚さを 影を
脱ぎ捨てるのでしょう そうね そうね
例えるのならば赤で描いた青い空
例えるのならば喉の枯れたあの味
錆び付いたオルゴール 歌うことをやめないでいて
退屈でも悪くないものと そう思うの 思うのに
「それではいられない」のだと
知らない表情をしたあなたは どうして
わたしを名前ごと呼ぶの
「鏡を覗いて」 ……そうね
時計の針は境界を指す
おやすみが言えないのは まだ
眠れそうにないから
例えるのならば蓋を閉めた宝箱
例えるのならば隣り合った合鍵
例えるのならば喉に触れたミルクティーのように優しいまま
例えるのならば風に咲いたあの花
「それなら怖くない」なんて
貴方の手を取る私はね どうして
纏った儚さを 影を
脱ぎ捨てるのでしょう
大切に抱えた音色は
秒針を私の鼓動へ 乗せたら
ブリキの瞳が映す 嘘を
越えるのね じゃあね