ゆめ、うたかた

A
風に遊ばれて
桜の花びらひらり
水面を揺らす
あなたは微笑い
「ついてるよ」なんて
そっと手を伸ばす

B
このガラスの向こうは
どんな世界なのかな
だけどわたしはここから
出てゆけないから

S
深い深い青の底に沈んでゆく
わたしの声は届きますか
溺れてしまわないように
必死にあえぎ続けるの

A
初めて逢ったのは
去年の夏祭りの夜
「一緒に帰ろう」
あか あお きいろ
たくさんの光わたしたち
を照らしていた

B
もう会えなくなってから
どのくらいになるのかな
揺らぐそらに浮かぶ
あなたの面影

S
暗い暗い青の底に落ちてゆく
あなたの声は届かない
消えてしまわないように
必死に空気(いき)を吸い込むの

C
くるしくて くるしくて
ただ、あいたくて
いきの仕方なんてもう
忘れてしまったの

(ふわり ふわり)
(ぷかり ぷかり)

B
光(あなた)は泡になって
消えていってしまったの
いつか、いつか また会えると
信じています

S
ゆらりゆらり景色(せかい)が薄れてゆく
いつまで待っていればいいですか?
今すぐにあなたのもとへと
飛んでいってしまえたらな

S
ふわりふわりからだがふっと軽くなって
いつか夢みたそらに近づく
音も色もなくなって
もう何も、何もない

(何も 届かないよ)
(何も 聞こえないよ)

D
あなたがもういないことなんて
わたしは知らない

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