ピーナッツさん

沖縄県在住のピーナッツです。ちょこちょこと小説を書いたりしてます。

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イチオシ作品

リンが猫になっちゃった 【後編】

夕方になってもミクとルカは相変わらずリンをおもちゃにして遊んでいた。 「……ミク姉、そろそろクリプトンからワクチンプログラム届いてるんじゃない? メールチェックしてみたら?」 いたたまれなくなってレンが言った。 「まだ早いでしょ。電話もないし」 「いいから、チェックしてみて」 「はいはい」 あんまりレンの機嫌を損ねてもいけないので、ミクはメールをチェックしに自室へ行った。しかし、五分もせずにリビングに戻ってきた。 「まだ来てなかったよ」 ソファに座ってテレビをつける。面白くもない番組が流れていたが、ミクはじーっと画面を見ていた。 何かおかしいな……ボクと話をするのを避けてるみたいだ。 「ミク姉、ホントにメール来てなかった?」 「来てないわよ」 レンと目を合わせようとしない。 「ミク姉、嘘ついてるでしょ」 「う、嘘なんかついてないわよ」 声が上ずっている。レンは嘘だと確信し、サッとミクの部屋に向かって走った。 「あ、レン! ちょっと待ってー!」 部屋に入るとパソコンは付けっ放しになっていた。素早くメールソフトを立ち上げる。 「あー! やっぱり来てる!! ミク姉、ひどい!!」 追いかけてきたミクが舌打ちした。 「ちぇっ、明日までこのままにしとこうと思ったのに」 レンは頭から湯気が出るほど怒っている。 「もう! 早くインストールしてよ!」       ☆ ミクの部屋に四人が集まった。 ルカはリンのヘッドセットをパソコンにつなぎ、マウスを操ってワクチンプログラムをインストールしている。 「――終わったわ。インストールはできたけど、すぐには効かないみたいね。ウイルスプログラムが読み込みとかで寝ている隙を狙って攻撃するから、いつ直るか分かんないって。運が良ければすぐかもしれないし、長ければ数時間かかるみたいよ」 「えー、そんなにかかるの!?」とレン。ミクは喜んでいる。 「やったあ、じゃあ今日いっぱい遊べるね。晩御飯の前に、リンお風呂入れよっか。ずっと遊んでたから汗びっしょりだし」 誰が汗びっしょりにさせたんだよという突っ込みを入れる気力は、もうレンにはなかった。 「あたしがお風呂入れるね。リン、おいで」 歩き出すミクをリンが四つん這いで追う。この光景もあと少しでおさらばだ。レンは今日何度目か分からない溜息をついた。      ☆ ミク達が風呂に行っている間、レンとルカはリビングでテレビを見ていたが、しばらくするとミクがドタバタとリビングに駆け込んできた。タンクトップにショーツとあられもない格好だ。 「痛ーい! 引っかかれた!」 腕に四本の赤い線が引かれている。 「どうしたのよ? リンがやったの?」 「裸にしてシャワーでお湯かけた途端、フギャーって叫んで引っかいたの。水嫌いなのね。あたし恐い、レンがお風呂入れて」 「な、何でボクなんだよ! 一日中二人で遊んでたくせに!」 「顔引っかかれたらどうすんのよ。レンは男だから絆創膏はっててもサマになるけど、女はそうはいかないでしょ」 「こないだ一緒に風呂入るなって言ったばかりじゃないか!」 双子のリンとレンは、互いの裸を見ても何とも思わない。当人達に言わせると自分の裸を見るのと一緒だという。 だから二人きりのときには時々一緒に風呂に入っていたのだが、この前そのことがばれて、ルカに禁止令を出されている(『双子だからって裸はダメ!』参照)。 「今日一日許可してあげるわよ。わたしも顔引っかかれたくないから、レンお願いね」 ルカもミクに賛同する。レンは不服そうな顔を浮かべつつ、仕方ないので風呂場に行った。       ☆ 風呂の戸を開けると、素っ裸のリンは毛を逆立てて――いや、本当に逆立てているわけではないが、そんな感じでフーッとレンを威嚇した。 髪が濡れている。裸だから早く温めてあげないと風邪を引くかもしれない。 「リン、シャワー浴びないと風邪引くよ。ちょっとの間我慢して」 近づくとシャーッと爪を振りかざす。手を振り回されるとシャワーどころではない。レンは引っかかれないように上手く爪を避けながらじりじりと近づいた。 パシッ! タイミングを計ってリンの両手首をつかまえる。 その時だった。ウイルスが自己増殖のため一瞬停止した。その隙を逃さずワクチンプログラムが攻撃を仕掛け、プログラムを削除する。ウイルスは完全に消滅した。 リンがハッと正気に帰る。目の前にレンの顔があった。 わっ! 何でこんな近くにいるの!? え? 動けない……な、何でレンあたしの手つかんでんの!? 「リン、おとなしくして!」 な、何で恐い顔してんのよレン!? え? ここお風呂!? ヒャッ!! あたし素っ裸じゃない!? レ、レン!? まさか……ヤ、ヤダ、ヤダヤダヤダ…… 「キャアアアアアアアアア!!」 動転したリンは、レンの腹に渾身の膝蹴りを喰らわした。 「ぐはっ!!!」 レンの体がくの字に折れる。すかさずリンは自由になった手で頬を張り倒した。顔が一回転しそうなほど強烈なビンタだった。完全に意識を失い、重力に従ってバッタリと倒れるレン。 「いやあああああああ! ルカ姉~!」 リンは叫びながら裸で風呂を飛び出していった。       ☆ 夕飯の食卓。四人揃ってテーブルにつく。晩御飯は予定通りマグロの漬け丼。レンの顔にはくっきりと赤い手形がついている。 「レン、ゴメンね」 事情を聞いたリンが謝る。猫になっている間のことは何も覚えていないそうだ。 「……いいけどさ……ボクが一番心配してたのに、なんでボクばっかり……」 ぶつぶつと文句を言いつつ漬け丼をかき込む。 「ルカ、レンに任せてよかったね」 「そうね、やっぱり男の子は頼りになるわ。ありがとう、レン」 「何だよ! おだてたってダメだからね!」 散々な目にあったレンはすっかり拗ねてしまった。機嫌が直るにはちょっと時間がかかりそうだ。 「それにしてもリン、本当に何も覚えてないの?」ルカが聞く。 「うーん、朝起きて忘れちゃった夢みたいに、ホントおぼろげなのよね。でも、とっても幸せだった気がするわ。それは確か」 「でしょでしょ、あたしとルカが遊んであげたんだよ」 「そうなんだ、ありがと、お姉ちゃん達」 「リン! 僕がどんだけ心配したと……うっ、う、うう……」 まだヒリヒリする頬を押さえながらレンは怒ったのだが、途中で突然呻き出し、言葉が続かなかった。 「どうしたの、レン?」 リンが心配して声をかける。レンは苦しそうに胸を押さえて俯いている。 「う、うう……」 ミクとルカもこれはただ事ではないと思い、表情に緊張が走る。ミクがイスを立とうとしたその時―― 「ニャー!!」 顔を上げたレンが元気良く鳴いた。瞳孔が細長くなっている。 「あら、今度はレン? そっか、双子だもんね、うつりやすいんだわ」 ホッとしたルカがのんきな声で言った。 「やったあ、また遊べるね。ワクチンはあるんだからさ、二、三日そのままにしとこうよ」 ミクがはしゃぐ。 「レン、『男の娘』扱いされるの嫌がるからさ、女装させて遊ぼうよ。写真いっぱい撮っちゃお!」 無実のレンに暴行を加えた負い目も忘れ、リンが手を叩いて喜ぶ。 猫になったレンはテーブルに両手をつき、丼に顔を突っ込んで漬け丼をむさぼっていた。 ミク、ルカ、リンの三人は、どうやってレンで遊ぶか次々にアイデアを出し合うのだった。 ボカロ家は今日も平和である。

コンピュータウイルスでリンが猫になっちゃいます。
今回レンはひどい目にばかりあってますが、こういう役似合いますね、レンは。
投稿日時 : 2011/12/24 00:39

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