saint mask

胸の穴を埋めるメロディ
濡れた目に響くハーモニー
琥珀色に微笑む姿
窓辺に揺れる影の先 見えたのは
哀しいほど淡い願い
「行かないで」
届かない声を嘆いて
この手には何もないと気づいた
見上げた空の彼方に
あなたはずっときらめいて...

静かに凪いだ窓辺の景色に時計が止まる
彩る葵に心絆され夢は儚く
小さく無機質な部屋から出る鍵はもうない
薄紅の日々に取り残されたまま
私はひとり何を見てた
錆びついた足で日差しを求めた
貴方がそこにいたから
鮮やかな蒼にほどける私の世界
色褪せた心はどこへ行くのか
消えゆく視界に滲んだ貴方の姿...

どうして眼に映るのは哀しくきらめく世界
永遠を描く星に伸ばしたこの右手は届かない
街を灯す冷たいイルミネーション
帰り道はもうわからない
貴方は心の雨に傘をくれたね
モノクロの景色にその笑顔が滲んだ
どうして眼に映るのは哀しくきらめく世界
もう一度めぐり逢えたなら
流した涙の跡は隠して笑ってるから
...

夢をみていた 一羽の鳥が
雲の向こうへ消える景色
渇いた空気 霞む視界に
少しずつ薄れてく意識
嗚呼 夜の街は喧騒
まだやれると必死で呟いた
何度も 何度も
振り返るともう誰も見えなくて
胸を焦がす痛みに目を閉じた
雲の上に空は広がる...

やわらかな陽射しが包んだ
碧く鮮やかな世界
風に誘われた花弁が
浮かんで消えた
穏やかな時間が紡いだ
淡く揺れるこの景色に
白雲が儚くほどけた
不意に漏れた言葉に時が止まる
あの夜見た何気ない微笑みは
月よりも眩しかった...