最近の投稿作品 (9)
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月の物語 [小説] 運命の輪4
月の物語 運命の輪3の続き
「ばーか。からかうな」
リンの頭を小突く真似をしながら
「グミは気さくな感じの面倒見の良い子見たいだし、ネルは口数は少ないけど責任感のある子見たいだし、これから一緒に頑張って行けそうだな」
僕から見た二人の印象をリンに伝える、リンが僕を振り返りながら
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月の物語[小説]運命の輪3
ルカ女王様との短い拝謁が終わり、リンと二人で両親を振り返る。母が僕達をぎゅっと抱きしめ
「二人とも辛かったらいつでも帰っていらっしゃいね」
「お母様、それではルカ女王様に怒られるよ」
リンが泣き笑いの表情で母に返事を返す
「ふふ。お母様とお父様はとても強いから、怒られるのなんて怖く無いのよ」
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月の物語[小説]運命の輪2
「ルカ女王様がお見えになります」
僕達やこのホールに居る人々が一斉に臣下の礼をする。少しすると、静かなホールに足音と衣摺れの音が響く。僕達より一段、高い壇上で足音が止まり、女性にしては低めの声がホールに響く。
「皆さん。お待たせしました、顔を上げて下さい」
皆、女王の言葉に臣下の礼を解き顔を上げる。レンが顔を上げた先には、ピンクの髪を腰まで伸ばしたやや紫色が濃いめの群青色の瞳をした美しい女性が立っていた。女王の群青色の瞳は何もかも見通す様な輝きを放ちホールの人々を映し出す。
「忙しい中お集まり頂きありがとうございます。今日から二当家の子供達をお預かりさせて頂きます」
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月の物語[小説] 運命の輪
紫の夜空に大きなまぁ~るいお月様。
空のお月様と同じ金色の髪を上の所で結んだ男の子が、今日の一日分の疲れを吹き飛ばす様に、少し大きめの声で
「あー。今日は朝から忙しかったなぁ・・」
僕と双子の姉の十二歳の誕生日。朝から色々な所に顔を出しお祝いしてもらい、やっと今日、最後のルカ女王様との拝謁で忙しかった一日が終わる。
「う~ん」
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月の物語[小説] 運命2
巫空が外に出ると、夜の暗い空に大きな、大きなま〜るいお月様。地上を明るく照らしています。巫空がお月様を見上げながら、ちぃに聞きます。
「明るい。の正体はお月様だったのね」
そう言ってちぃに笑いかけ、ちぃを自分の左肩に乗せます。
「ちぃ。ちちち。(そうだよ。大きくて、綺麗でしょう)」
「うん」
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月の物語 [小説] 運命
夜も深くなった夜半。小さな小屋に四歳〜八歳ぐらいの子供達が七人、ひとかたまりにグッスリと眠っています。その内の一人が寝返りを打つと、近くで寝ていた女の子に軽く手足がぶつかりました。
「う〜ん?痛い」
眠い目を擦りながら、女の子が体を起こします。少し周りを見渡し、今まで自分が寝ていた所に手足が有る、女の子を揺すりながら小さな声を掛けます。
「ねぇ、白(はく)邪魔だよ。私が寝れないよ〜〜」
「う〜ん」
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月の物語[小説]始まり3
親子の姿が見えなくなるまで見送っていた女性の後ろから、声が掛かりました。
「メイコ」
女性は親子を名残り惜しそうに見つめた後に、振り返り、男の名前を呼びます。
「カイト」
振り返った先にはメイコより背の高い、髪の色は藍色、瞳の色は髪の色を少し明るくした藍色。その青年を見ながらメイコは問い掛ける。
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月の物語 [小説] 始まり2
二人は先程まで女性が寄り掛かっていた家の脇まで移動して、二人でしゃがみ、少女が女性の声に耳を傾ける。女性はそんな少女の様子を見ながら歌い出す。
(小さな月の男の子 忍者の子供の肩の上 小さな子リスと肩の上 忍者は走る 風のよう 川を越え 森を抜け 綺麗に光る花畑 二人と一匹大冒険 そろそろ夜が明ける頃 ま〜るい大きなお月様 聞こえて来るよ 呼び声が 月の子供を呼ぶ声が 帰っておいでと月の声 忍者の子供に宝物 また逢う約束と 半月見たいな宝石を 必ず逢いに来るからと・・・)
ここまで歌うと、向こうから女性が駆け寄って来た。
「稲亜(いあ)ちゃん‼︎」
少女が嬉しそうに声を上げる。
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月の物語 [小説] 始まり
晴れた青い空に、うっすら月が見える。その月を見上げながら女性が佇んでいる。茶色の髪を肩より少し短めに切り揃え、顔立ちは美しく、その瞳は琥珀色に赤い色を宿した温かみのある色。すっと伸びた身長に、出る所は出ている、女性らしい魅力的な体つき。背中を木造立ての壁にあずけ、月を見上げる姿は寂しそうに見える。
「ひっく。ひっく。お母さん〜〜」
四〜五歳くらいの白に近い薄いピンクの髪を長めに伸ばした可愛い少女が泣きながら、女性の横を通り過ぎようとした、女性が泣いている少女の前にしゃがみながら聞いた。
「泣いて、どうしたの?」
少女がびくりと体を縮め女性を見る。女性は怯えた顔の少女に優しく微笑み、もう一度、問い掛ける。