はにーさん

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悪ノ召使ー処刑台にてー

今日、町の広場にはたくさんの民衆で溢れていた。処刑されるのはこの国の 「王女」。空は太陽が出ていて秋には珍しいくらい心地よい暖かさだった。 処刑の時間は午後3時。もう処刑台にあげられていて、大勢が「王女」に向かって思い思いの罵倒の言葉を浴びせている。 「お前のせい何人の命が失われたか!!」 「我が国から平和を奪った悪魔め!!」 思わず耳を塞ぎたくなる。だが手足は拘束されていて動けない。リンがいなくてよかった。これを聞いたら彼女はきっと悲しむだろう。 (王女の---リンの悪口を言うな!!) 民衆は何も知らないのに…。リンが子どもの頃俺と引き離されてどんなに辛かったか…。 誰も知らないのに! リンだって普通の子どもとして生活したかったのに… あぁ、そうか…もう普通の子どもとして暮らせるんだな。 今日「王女」は死ぬ。処刑される。 リンは一人になってしまうけれど、きっといつか…リンを大切に思ってくれる人に出会えて幸せになれるだろう。 …これでよかったんだ。リンが幸せになれるなら僕はどうなったって構わない。 民衆はこのことを知らない。でもリンが生きてるなんて誰も思わないだろう。だからリンは大丈夫だ。 辺りを見渡すと女、子どもも皆集まっているのがわかる。こんなものを子どもが見るものじゃない。 そう思っても僕はどうすることも出来ない。 あたりを見渡していると、太陽が雲に隠れて日が陰り出した。まだ夕方だが天気が悪くなってきているようだ。 その時、秋の乾いた風が町を駆け抜けた。 すると狭い路地からこちらを見ていた一人の少女のフードが取れた。 フードの中から出てきた顔は僕と瓜二つの顔…。 彼女の瞳は細い涙を流していた。 (リン!!) 少女はフードをかぶりなおしてこちらを見た。 彼女が僕を見て僕が彼女を見る。 リンの涙が大粒の物に変わった。瞳は真っ赤だった。きっと僕が捕まってから1週間彼女は度々泣いていたのだろう。 泣かないで、リン。 僕は幸せだよ… ううん、幸せではないかな。 本当は君と一緒にずっと暮らしたかった。 でもずっと言ってたよね?リンのためなら何でもするって… だから君がいなくなる位ならこれでいいんだ。 リンがこっちを見てる。笑って安心させてあげなければ。 僕は笑顔を向けた。 その時、処刑の進行役である---革命を成し遂げた、赤き鎧の女剣士が声たかだかに宣言した。 「少し早いが、今から処刑を開始する。」 今にも雨が降りそうな空だった。 「この国に混乱と争いをもたらした王女よ、国民に伝える言葉はないか?」 僕は頭を振る。 僕の視線は剣士でも民衆でもなく、たった一人、リンに向けられていた。 リンは今にも叫び出しそうだった。 「私が王女よ。」と。 そんなリンを僕は笑顔だけでなだめる。 「では、処刑の準備を。」 剣士が言う。僕の首が大きな刃物の下に固定される。 僕はほんの少しだけ動く首を精一杯上げリンの方を向く。 「今までありがとう、大好きだよ。」 誰にも聞こえない程の小さな声で呟く。 「非道な王女に死の制裁を!!」 剣士が宣言したのと同時に教会の鐘がなった。 僕は叫ぶ。リンを見て。彼女の口癖を。 「あら、おやつの時間だわ!!」 雨が降りだした。 刃物が僕に向かって降りてくる。とてもゆっくりに感じた。 リンが泣いてる。 リン、笑って? 僕は君の笑顔が大好きだから。 また双子になれるかな? もしも生まれ変われるならば、 その時はまた遊んでね。                 王女が処刑されると民衆は喜んだ。 平和が戻ると… そんな歓喜に満ちた広場を1人の少女が涙をながし去っていたことなど知るものはいない。 「ねぇ、レン。私達と同じ名前の子達のお話があるよ。」 家の古い書籍を漁っていた女の子が1冊の本を手にとった。 「どれどれ?」 それを覗き込む女の子と瓜二つの男の子。 「えっと…<悪ノ召使>?ねぇ、レン!これ読んでみよう!?」 女の子が提案すると、男の子もそれに賛同した。二人は小さな机に隣同士で並んで読み出した。 「うっ、ぐすん。悲しいよー。「レン」が死んじゃって悲しいよー。レンも死んじゃったらどうしよー…」 読み終わると女の子は泣いていた。 「大丈夫だよ。僕はここにいるから。それにこの「レン」はきっとこれでよかったんだよ。そう言ってるだろう?」 男の子が女の子の頭をなでる。女の子は気持ちよさそうに目を細める。 「でも…「レン」は勝手だよ。」 目を開いて彼女は言った。男の子は頭から手をどけて続けた。 「何で?」 「だって「リン」がどんなにこの後悲しんだのかわかんないもん。「レン」がよくっても「リン」は自分のせいで「レン」が死んじゃったって自分を責めるでしょ?立場が逆だったら「レン」は本当に悲しむと思う…逃げただけなんだよ…「レン」は。」 男の子はなぜか悲しくなった。 「じゃあリンは、「レン」が悪いって言うの?」 女の子は勢いよく首を振った。 「ううん、誰も悪くないの。だから…」 男の子は言葉を待つように彼女の顔を見る。女の子は一度呼吸をして続ける。 「だからこのお話は悲しいの。」 少女の表情が一瞬知らない人のそれに思えた。だがすぐにもとの子供らしい顔に戻り、立ち上がった。 「レン、もう戻ろう?疲れちゃった。」 「うん。」 女の子は出口へ向かった。男の子は本を置きに本棚へ。彼は本棚の前で本を片手にひそかに祈った。 「「リン」が幸せになりますように。」 「レン、レーンー。」 女の子が呼んでいる。男の子は本を元の位置に戻し戻っていった。 「リン、ごめん遅くなって。」 「本当だよ。」 女の子は頬を膨らませて怒ったふりをする。 「じゃあ行こう。」 男の子はそう促すと歩き出した。だが女の子は歩き出さなかった。 不思議に思った男の子は足を止めて振り返る。 「リン?」 「レン、私たち…」 一呼吸おいて続ける。 「ずっと一緒にいようね。」 子どもたちは笑いあった。

初めて投稿させていただきます。
悪ノ召使の処刑のシーン+αを私の初小説として書かせていただきました。
ただの妄想が入ったりしていますが…お許しください。
悪ノシリーズの大ファンです。
このシリーズからボカロ絶賛はまり中です。

初めて書いた小説ともあり拙い文章ですが。
読んでいただけると光栄です。

感想やアドバイスなどいただけると嬉しいです。
一言でもいいので。
読んでいただけたということが知りたいもので…
よろしくお願いいたします。

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投稿日時 : 2010/03/13 17:08

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