とうの。
ピアプロID: hureira_chronicle
基本的に物書きでございます
短い歌詞や小説を中心にちまちま創作しながら、色々な方の作品を楽しみたいと思ってます
この素敵アイコンはなつめ亜佐様に描いて頂きました!
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最近の投稿作品 (20)
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【小説】Guild!!! 1-8
その部屋は、暗かった。
光の射さない暗い部屋。湿った石床。壁には深く鉄の輪が打ち込まれ、何本もの鎖がそこから伸びている。
一様に無骨な鎖は、部屋の中央の「それ」に繋がっていた。否、繋がっているなどと生易しい状況ではすでにない。
軽く10本を超える鎖は、部屋の真ん中にある「それ」を…1人の少女を、縛り上げて絞め殺そうとしているかのようだった。
石床に力なく転がった肢体は華奢な少女のそれ。元は美しかったのであろう、絹やレースをふんだんに使った豪華なドレスは見る影もなく破れ、千切れ、残骸があちこちに散らばっている。大輪の花のような金髪が、乱れもせず滑らかに輝いているのが逆に不自然…と言うよりも。
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【独自解釈】泣き虫カレシ 後【小説】
季節はゆっくりと、しかし確実に過ぎて行った。
僕とミクが出会って12年。干支が1つ回るくらいの年月が過ぎ、僕達はご近所さんから友達へ、親友へ、恋人へ変わった。
それでも、僕は僕のままいつまで経っても泣き虫だったし、ミクはいつだって僕をしっかり支えてくれるお姉さんだった。
そして変わらなかったことで、変わらなかったことこそが、ミクに最後の決断をさせてしまった原因かもしれない。今更、僕はそんなことを考えている。
【泣き虫カレシ 後】
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【独自解釈】泣き虫カレシ 中【小説】
「ねぇレン、私、高校どうしようかなぁ」
「どうって…あそこ行くんじゃなかったの?N高校」
僕達の中学校からは、毎年1人2人行くか行かないか、くらいのレベルの進学校。ミクはそこに行きたいと、去年あたりからずっと言っていた。
【泣き虫カレシ 中】
マク●ナルドの混雑したカウンター席。2人で並んで腰かけて、ミクはシェイクを、僕はハンバーガーとポテトのセットを食べながらの会話だった。
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【独自解釈】泣き虫カレシ 前【小説】
歩き去っていく彼女の姿を、ただ見送っていた。
浮かべた笑顔は引きつっていて。
止まったはずの涙はじわじわと染み出していて。
大きく振った手は震えていて。
そして彼女は、そんな僕を決して振り返らなかった。
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【小説】飛べない鳥が羽ばたくとき
鈴のように美しい声が好きだ。
桃色の滝のようなその髪も。
時折揺らめく神秘的な瞳も。
その全部。全部全部全部。
大切すぎて…近づくことすらできないほどに。
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【小説】Guild!!! 1-7
武装都市・バイアル。マトリアから直通で伸びている5番街道を通って、青の山脈を越えた先にある、小さな盆地状の都市である。
武装、などと物々しい二つ名がついたのにはいくつか理由があるが(その1つに勿論、治安の悪さによる市民の自衛意識の高さがあるのは間違いないが)、それはおいおい語るとして…
今はひたすらに…暑かった。
「あっつい…」
「この辺りは日影がないから…」
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【小説】Gulid!!! 1-6
…初音ミクと鏡音レン。
2人の物語が先へと進む前に、少しだけ時間軸を巻き戻そうと思う。
所はヴァーレーヌ。ギルド本部の置かれた極寒の地。
石造りの堅牢な要塞であるギルド本部では、その時、円卓会議が行われていた。
「それでは…鏡音家の動向について、『青』より報告を」
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【小説】Guild!!! 1-5
目の前でにこやかに笑うその人の顔に、私は見覚えがあった。
知り合い、ではない。その言葉はあまりにも、恐れ多い。
ギルド所属の傭兵ならば、誰もが一度は目にしたことがあるその顔。私のような術式を扱う魔術師にとっては、特に近しいその人。
たった5年。たったの5年で、ギルドの質をそれまでの数倍に叩き伸ばした、1000年に一人の天才と呼ばれた魔法具職人。
「氷山、キヨテル…!」
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【小説】すきま
今、皆さんが百物語をされているので、ふと昔のことを思い出してしまいました。
昔と言ってもほんの2・3年前のことなのですが…実は、私、以前にも百物語をしたことがあるんです。
その時のことを、少し、お話したいと思います。
当時、私は映画部に所属していました。夏休みに皆で作品を撮ろうと、その時はある山の中のキャンプ場で合宿をしていたんです。8月の真ん中…お盆の前あたりでしょうか。キャンプ場と言っても、コテージの貸し出しをしている山荘のようなところで、環境はそんなに悪くありませんでした。
5・6人が寝泊まりできるコテージを3つ借りて、昼間は到着早々に撮影を行って、夜ごはんはバーベキューをしました。花火もやったのかな。とにかく、ごく普通の、学生らしい合宿をしていたんです。
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僕らの距離
<A>
もしあの日君が 僕を見てたなら 僕らは少し違っていたのかな
もしあの日雨が 降らなかったなら 僕は君を知ることもなかったけど
<B>
君の笑った顔 君の見つめるその先と
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【小説】行き止まりのトイレ
僕の学校は、非常に変な形をしている。
芸術家の人が設計をしたという校舎は何故か半円形で、それに合わせて教室も区切られているから、まぁ、はっきり言って使い辛い。
1組の隣が3組だったり、大きな特別教室の前にぽっかりと謎のスペースが空いたりしていて、色々謎の多い部屋配置がされているのだが。
当然、トイレも妙な場所にあるのだった。
特に1階、食堂の近くにあるトイレは、校舎の一番奥に半ば壁で隠れるように設置されている。あまり人が訪れないので、昼間でも灯りが消えていることが多い少し不気味なトイレだ。
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【小説】帰りたい
これは、とある小さな町で起こった、ごくごく平凡な本当の話である。
「ねぇねぇ後輩君」
それまで黙々と本を読んでいた先輩がいきなり呼びかけてきたので、僕はパソコンから顔を上げた。
所は図書室。放課後の人が少ない室内には、図書委員の僕と本が好きな先輩くらいしかいない。
穏やかな笑顔を浮かべた先輩は、その笑顔にそぐわない言葉を口にした。
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【小説】Guild!!! 1-4
モンスターには総じて、コアと呼ばれる弱点がある。
モンスターの心臓にして唯一の弱点。人の握り拳程の大きさをした、真っ赤なルビーのようなそれ。
体内の奥深くに埋め込まれたそれを破壊しない限り、モンスターは全身を砕こうが頭部を切り飛ばそうが、確実に再生してしまう。
故に、モンスターを狩る傭兵達は皆、各々の武器を用いて一撃でモンスターのコアを破壊する術を、身につけなければいけないことになる…
その声は、夜明けの海岸を吹き渡る風に似ていた。
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【小説】Guild!!! 1-3
…ミクさんに起こされる前、僕は夢を見ていた。
昨日は指輪が取り戻せるか心配でなかなかうまく寝付けなかったはずなのに、気づけば眠り込んでしまっていたらしい。
夢の中で、僕は懐かしい庭に立っていた。
色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園。端の方には白いクロムウッドの木で造られた東屋があって、その手前の芝の上で、僕と姉は仲良く花冠を編んでいた。
普通の編み方では飽きてしまって複雑な作り方を研究する僕と、不器用にたどたどしい手つきで、ちょっと不格好な冠を作る姉。
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【小説】Guild!!! 1-2
カーテンの隙間から差し込んでくる光に、私は目を覚ました。
ツインベッドの部屋。テーブルを挟んだ反対のベッドには、見慣れない金髪が眠っていて、私は一瞬混乱する。
えぇと…あぁ、そうか、彼が部屋を取っていないと言うから、一緒に泊まることにしたんだっけ…
一人納得して、私は大きく伸びをすると、ベッドから起き上がった。
…昨日、あの場はなし崩しに解散になって、私はそのまま行きつけの宿屋に向かおうとしていた。
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「ごめんね」
<A>
(鏡音レン:以下レ)どうしてあんなこと言ったんだろう
僕の言葉で君が泣いて
(初音ミク:以下ミ)どうしてあんなこと言ったのかな
私の言葉は君を裂いた