イチオシ作品
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【小説】常識科学の魔法学17
身に覚えのない森にいた。
木々の葉は多くが枯れ落ち、とても5月初めの季節とは思えない死んだような森。
近くには湖のような大きな水溜りがあって、壊れた電化製品や自転車などの違法投棄物が堆積している。
枯れた木々には数匹の烏が留まり、時折羽をバタつかせてはカァカァと悲鳴のような鳴き声を発した。
身に覚えのない場所ではあったが不思議とこの場所にいる事に違和感はなく、頭痛もいつの間にか消え失せている。
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【小説】常識科学の魔法学16
その後、激闘の末、松戸父の懇願に根負けした俺たちはまるで荷物でも投げ込まれる様に旅館のスイートルームに放り込まれた。
それはもう一端の大学生や新卒社会人が到底支払えないような立派なスイートルームで、こんな部屋が無料でとなると、逆に気が引けてならない。
旅館の一室は日本庭園と鹿威しの風流を重んじる造となっており、室内には金箔をあしらった豪華な屏風。
部屋というよりはお寺や神社と言った日本の仏堂を一棟、そのまま借りているような感覚に近い。
「ごめんね。」
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【小説】常識科学の魔法学15
「超うさぎ風呂・・・だと?」
駅からさほど離れていない山中。
バスから降りるや否や、うさジャージのその開口一番を皮切りに竹井壮の住人たちの開ききった口。
『超ウサギ風呂』の幟をかざした超高級旅館の門前にはズラリとならんだ門松と石畳。
巨大なうさぎの石像が立ち並び、仲居さんが総出でお出迎え。
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【小説】常識科学の魔法学14
「痛ってー。本気で噛み付いて来たぞ聖の奴。」
「まぁ宿屋が重複して予約してあったらそれは普通消しますよね。」
ホテルでの惨事が終わった後のこと、流石にホテルには入れてもらえず、今度こそ宿無しとなった俺たちは他に行く当てもなくローカル線の待合室に腰を下ろしていた。
「だから俺じゃないって言ってんだろ。信用しろ。そして崇めろよ。俺を。」
「宗教の教祖か、あんた。」
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【小説】常識科学の魔法学13
もちろん宿のキャンセル料の支払いは達樹先輩が行った。
当然財布はすでにすっからかん状態の達樹先輩のはずだが、この時やけに素直に支払った達樹先輩に違和感を覚えた。
「以前の俺とはちっげーの。グレートマジンガーとマジンガーZくらいちっげーのよ。大人ってのはよ、動じないもんなんだぜ。」
そういって肩を叩いてくる達樹先輩が普通にうざい。
そういえば内定決まったとか言ってたし、インターンとかで既に働いているとか?
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ホラー小説)幽霊女と廃屋生活
穴。
その廃墟の壁には大きな穴が開いていた。
その穴を食い入るように覗き込む僕と女の子の影。
漆喰が見るも無残に剥がれ落ち、廃材となった建材と家具に囲まれて吸い込まれそうな真っ黒い空間がひたすらに続いている。
この廃墟にはこんな噂があった。