初陽@もふもふさん
hatuhiyu
しょよーじゃないです、はつひです。
作詞と小説をメインに、ゆるりと文を書いています。
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チキンハートの持ち主ですが、お気軽にどうぞ。
メッセージをいただけると飛んで喜びます(ノ´∀`*)
追記:
Twitter登録したのですが、ピアプロでの飛ぶ方法がわからないのでIDだけ書いておきます。
@hatuhiyu
ボケボケゆえ、リフォロはゆっくりめですあしからず。
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最近の投稿作品 (18)
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乱舞ライブ
A1
浮世に 紅のルージュ
美しいって当たり前
私が踊り狂う世界
あなたはそこから見上げているの
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仮面の王国
ここは正直者の町 かつては栄えた仮面の王国
石畳みの通りには ハープの音色が溢れ
あるとき その王国にお姫様が生まれました
きれいな王様と きれいなお妃様の間に 生まれたのに
お姫様はあまりにも醜かった
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sirenaの海 終
ひどく軋む戸を慣れた手つきで開けて、私はいつものように離れに入った。
離れの中はいつも薄暗く、しかし何処かいつもより静謐な、闇ではなく灰が支配していた。
「人魚?」
私はおそるおそる声を出した。
返事はない。
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sirenaの海 幼形水没 /2-2
おじさんは、帰ってきた。
悠久の時を越え、僕のおぼろげな耳に戸の軋みとおじさんの声が入ってきた。声を出そうと思ったのに、渇いた喉は震えなかった。
おじさんは僕の方にゆっくりと近づいてきた。少し擦り気味な足音は変わらない。そして板間に腰を下ろすと、寝そべったままの僕の額にかかった髪を掻きあげた。
優しい、僕の大好きなおじさんの、手。
そういえば長く髪切ってなかったな、と僕はぼんやりと思った。ただ置くだけのそっけなく頭をなでるおじさんにされるがままになっていた。
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sirenaの海 幼形水没 /2-1
おじさんは、ある日突然消えた。
からっぽになった蒲団だけを僕の横に残したまま、跡形もなくいなくなった。
呼んでも返事が返ってこない。僕はただそれだけでおじさんがいなくなったこと、帰ってこないだろうことをぼんやりと悟った。
そうなることをなんとなくわかっていた。
わかっていて、わかっていたのだけど、やはり僕にはそれは受け入れ難かったらしい。
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sirenaの海 幼形水没 /1-2
「何それ」
人魚の第一声は不機嫌極まりないものだった。ちらりと一瞥しただけで、開いた本の頁の端をちぎり、口に入れる。
「だからお礼だよ」
そう言って私は人魚の前に出したそれを見た。色とりどりの、やや汚れかかったチューブが長方形の箱に納まって沈黙していた。箱の端に私の名前がひらがなで書かれている。
「で、絵具を僕にどう使えって言うの」
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sirenaの海 幼形水没 /1-1
「遅い」
開口一番そう言われて、何かを投げつけられた。それが私の顔に当たって、土間にぶちまけられる。
機嫌が悪いだろうから行かなかったのに、と心中で呟き、私は人魚を見た。相変わらず人魚は床に寝転がって、顔だけでこちらを見ていた。柳眉が顰められていて、その瞳には剣呑な光が垣間見える。
悪かったよ、と私は靴を脱いで板間に上がった。土間にちらり、と白いものがよぎったが後回しだ。
「待っていてくれたの?」
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sirenaの海 愛憎情劇 /2
僕らはよく似ていた。
その内に向かっていく性格と、何処までも闇を引きずって行くところ。
サディストとマゾヒストは、結局同じものなのだと思う。傷つけることによって心の痛みを求めるのと、傷つけられることで心の痛みを求めるのは極論すれば同じものなのである。
ただその相手が自分より強いか、弱いか。未熟か、円熟か。
ともかくそれによっておじさんは僕を傷つけ、僕はおじさんに傷つけられていた。