洸+さん

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fakurasu

洸+(コウプラス)と申します。
コラボを中心に絵師として活動していきたいと思います。
ピアプロのシステムやルール等をまだ把握していないので、違反している所があれば教えて頂けると、とても助かります。

○描く時間も考える時間も長いですので、まったりと作成させて頂いてます。
主線のはっきりとしたアニメ塗りが得意かと思います。

サンプルに出来る絵が少ないので、絵はピクシブの方を見て頂ければと思います。
ピクシブ→【http://www.pixiv.net/member.php?id=1231375
趣味など。 ニコニコ動画のマイページです。
→【http://www.nicovideo.jp/user/18719944

◆最近のこと
チョコ美味い。 ちょこうま。う、ま。 ちょ、うま…かゆ……うまうま。

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イチオシ作品

人口呼吸

息が出来ないと思った。 肺に穴が空いてしまったように、幾度呼吸をしてもそれは僕から通り抜けてしまう。 呼吸が出来なければ、その先に待っているものは解りきっている。 どうにかしなければ。 僕はその一心で、ただ歩き続けた。 灰の匂いがした。何かを焼き尽くし、残されたものが砂になって風に運ばれている。 足元はぶよぶよとして、とても歩き辛い。 灰の匂いはだんだん強くなって、その内黒煙が僕を包むように漂ってきた。 今だけ、僕はそれを吸わずに済んで良かったと思った。 息が出来たら、きっともがき苦しむだろう。 もしかしたら、誰かがいるんじゃないか。 そう思って声を上げようと思ったけれど、声を上げるには呼吸をしていなければ出来ない。 僕は俯きながら不安定な道を歩いた。 誰かが傍にいるような感覚と、僕を呼んでいるような幻聴。 気のせいと断ずるには、それは僕にとって大切なものであるような気がした。 そういうような気がするだけで、そういう感覚があるだけで、今の僕にはどうしようもない現象である事もわかっていた。 黒煙を通り抜けると、赤い霧の漂う荒野が眼前に現れた。 薄気味悪い場所だ。 悪寒と嫌悪、その感情を盾に縮こまる恐怖。 さっさと通り抜けてしまわないと。 砂を積み上げて山を作るように、脆く柔らかい荒野の地面は、僕の足を飲み込もうとしているようだった。 歩き続けなければ。 僕はただそれだけを、考えていた。 疲れてきたのか、体がだんだん重くなっているのがわかった。普段なら、息が上がって、たくさん空気を吸い込んで、肺を満たすのだけれど。 自分の状態を不満に感じていると、赤い霧がだんだん濃くなっているのがわかった。 まずい。早く、早く通り抜けてしまおう。 泥の塊のようになった両脚を、滑稽なくらい不格好に動かして荒野を抜けた。 眩暈がする。体が左右に傾ぐ。 時間が無いのかもしれない。 僕はまだ息が出来ない。 走った。 きっと走っている。 もう足の感覚が無い。 何処へ行けばいいのか。 そうか、あの感覚を。それを頼りにすればいいのか。 早く、ここではない所に行かないと、僕の息が死んでしまう。周りは暗闇に包まれていて、地面が在るのか無いのかわからなかった。 脳内に光が走った。 記憶も一緒に走ってくれている。 形の無い伴走者は、思い出を溢れさせた。 笑顔、声。誰かの顔や、綺麗な声。 誰か。誰? 僕を支えてくれている。そう僕を待っている人だ。 僕は迷子だ。だから、帰らなくちゃならない。 自分だけで。 肉体が精神の影響を受けて、活力を取り戻していく。 まだ走れる。帰ることが出来るんだ。 冷たい。 冷気が体を包み込む。蒼い、蒼い空気。 まだか、まだ僕を阻むのか。 一面に雪景色が広がっていた。 ただ深く蒼い空間は、どこにも変化を表しておらず、進んでいるのか戻っているのか、まるでわからない。 きっと、ここを抜ければ。 僕はそう信じて、ただ走った。 もうどれくらい走ったのだろうか。思い出を見終わってしまうくらい、長い長い道だった。 無様に倒れた。 もう動けない。体はただの金属の塊のように、鈍さと重さしか返してこない。 情けないと思った。まだ途中なのに、辿り付いて無いのに、まだいけると思っていたのに。 眼が。 眼が熱い。 今度は鼻の中が、突き抜けるような熱を発した。 涙が暖かい。 暖かさを随分久しぶりに感じたように思う。 温もり。誰かの手を握った時、とても暖かかった。 小さく細い手だったが、冷たい僕の手とは違って、包み込むような暖かさを持っていた。 僕の思い出の中に居た人。 慈愛の笑顔と確かな温もりを持ち合わせた、僕の大切な人。 会いたい。 会いたいんだ。 だから僕はここまで走ってきた。 また君の隣で笑う為に。 同じ息を吸って、吐いた息を吸うように。 君の呼吸を思い出す。隣で笑う僕を思い出す。 肺が動いた。 ゆっくり、ゆっくりと、吸って、吐く。 息が戻った。 僕はまだ生きていた。 僕の吐いた息が、地面の雪を溶かす。 少しずつ少しずつ広がって、雪が溶けていく。 これで、帰れる。 でも、まだ足りない。 僕だけの息では、この雪を溶かし尽くす事が出来ない。 どうしたら。 頭が真っ白になった。 唇が勝手に動いて、何か喋った。 名前を呼んだみたいだ。僕の大切な人の、名前。 僕は忘れてなんかいなかった。 何処からか、暖かい空気が吹き込んで来て、一面の雪をみるみる溶かしていった。 僕はゆっくりと立ち上がって、雪の溶けた空間を歩き出す。 しばらく歩いていると、円状の穴が現れた。 暖かい空気はそこから吹き込んでいるらしい。 どこか、懐かしさと安堵を感じながら、僕は走ってその穴に飛び込んだ。 僕の名前を呼ぶ声がようやく聞こえた。 目が覚めて、色々教えられた。 朦朧とする頭に、無理矢理事実を押し込まれたようだった。 言いたい事だけを言って、白い服の人々は去っていった。頭の中は混乱を通り越して、むしろ落ち着いていた。自分の事はどうでも良かったのだ。 僕は、傍らにいる彼女を見詰めた。 「…おかえり」 「ただいま。」 「もう目覚めないって言われたの。奇跡だって」 「そうなんだ」 「貴方ともう話す事も出来ないって考えたらすごく苦しかった。だから、傍で名前を呼び続けていたの」 小さく言う彼女の眼は真っ赤になっていて、僕の記憶の中にある彼女より、すこしやつれたように思う。 僕は必死に考えていた。 どうしたら彼女は笑顔を見せてくれるだろうかと。 「何があったの?…ううん、どうして目覚める事が出来たの?」 僕は、もう忘れかけている夢の出来事を、ゆっくりと言葉に吐き出す。 自分の息を確かめながら。 「……長い、長い夢を見ていたんだ。逃げ場も出口も何処にあるのかわからない場所に居た。 けれど。 君が溶かしてくれたんだ。君の暖かい、その息で。 君のお陰で、僕は今、生きているんだ」 僕の息を、君が吸って、 君の息を、僕が吸う。 二つの息で、生きていく。

短編であることと、人物に名前を付けないことを決めて書きました。
ニ息歩行を聴き、イメージして書いていました。
死にかけた人間の話です。
〆切当日早朝から書いて、三時間ぐらいでどうにかしたやつです。
感想や助言ありましたら、お気軽に。

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投稿日時 : 2011/01/16 01:27

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