イチオシ作品
最近の投稿作品 (6)
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花のように、
Aメロ
幼い笑顔 小さな指先
子供だった君は 僕を見て笑った
振り袖の 一面の牡丹
花かんざし しゃんと 煌めいて鳴った
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夏、数え歌
夏、数え歌
ひとつ ふたつ 花が散る
明るくて 眩しくて
藍の空 華みっつ
照らし出した 君の笑顔
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夢みることり(がくぽ&MEIKO)2
長じて後は、時折、何かの拍子に見かけることしか、互いに許されなくなった。
彼女は、滅多に笑った顔を見せなくなった。前だけを向いて、そのくせ何ものをも拒んでいた。
そうして美しく成長した彼女には、当然の道が用意された。
うつむいている、この髪に触れたい。
壊れてしまいそうに儚げな、肩に触れたい。
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夢みることり(がくぽ&MEIKO)
天より降り積もった白銀は、人の世のそれより遙かに透き通るようで、いっそ禍々しいようであった。
雲はかかっているが、雪はようやく止んでいた。じわじわと装束を通して染み入る寒さに、しかし青年は表情一つ変えず、濡れ縁に佇んでいた。藤に似た色の長い髪が、未だ薄い雲に覆われている月の光を受け止めている。
ふと、彼は顔を上げ、次いでその場に額ずいた。ほんのわずかに開けられた障子の向こうに、主の姿を見出したためだ。
「神威」
冷気を打ち払うように凛とした、女の声が密やかに彼の名を呼ぶ。彼は目を伏せ、顔を上げないまま短く応じた。
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千年の独奏歌(小説) 後編
マスターが新しく作った曲の譜面を目で追って、カイトは少し驚いた。
「恋の歌ですか?」
「うん」
少し照れくさそうに、彼は笑った。
「そろそろ、お前なら歌えると思うんだけど」
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千年の独奏歌(小説) 前編
この月の下で もう巡りあうこともないけど
この空に向かって歌い続けていよう
燃え上がりながら、太陽が沈んでゆく。
巨大な紅蓮がとけ込んで、海の一所がその色を変えている。
夜を迎えるため、いつも太陽は海へと身を投げているのに、朝には真新しく空を目指すのはなぜだろうと、ふと思った。