語り部の暗い森のサーカス > ブクマでつながった作品

語り部の暗い森のサーカス

語り部の暗い森のサーカス

ようこそいらっしゃいました。この度お聞かせするのは、真っ暗な森の奥にある、サーカス団の物語です。

そのサーカスは真っ暗な森の奥深くにあったそうです。キャストは皆愉快ですよ。少々、ヘンテコな形をしていますが。例えば、とても高い背の大きな目玉の座長、本来ならば双子としてこの世に生を受けるはずだった二つ頭の×××の。哀しい悲しい歌を歌う歪な異形の歌姫。冷たい人間の手足を貪り食う、青い毛の獣。どれも、揺らぐ手足を持たずに生まれてくることを望んだわけでないそうですよ。

二つ頭のピエロ、異形の歌姫、青い毛の獣はそれぞれが観客に問い掛けたそうです。

 ―「 何 で そ ん な 目 で 見 て い る の ?
顔 が 腐 食 っ て い く  」

しかし、観客にはその声は届かないのです。

 ―「 苦 し い よ 苦 し く て 仕 方 が な い 」

異形の歌姫がそう歌っても、観客には

 「楽しいよ。楽しいよ。このサーカスは楽しい」

そう歌っているようにしか聞こえないのです。

死にたい、ここから出してください。そう願いながら舞台に立っているキャストはぼんやりと思い出します。

でもそれは無理なことと誰かが言っていた気がする、と。

いかがでしたか?私のお聞かせした物語は。今日のところはここでお開きにしましょう。帰り道にはどうぞお気をつけて。よければまた、私の物語を聞きにいらして下さい。それではさようなら。

ああそうだ、興味を持たれたならば一度足を運んでみてはいかがですか?
  暗い森の奥底へ。

語り部シリーズ3作目です。

投稿日時 : 2009/05/03 20:10    投稿者 :文鳥

ヘルプブクマでつながった作品とは?

語り部のマヨイガ

語り部のマヨイガ
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのはとても美しい魔女の物語です。
山の麓の森の置く深くに青く長い髪を持つ魔女が住んでいたそうです。魔女はとても美しく、その姿を見た者は誰しも魔女に恋してしまうそうです。麗しき魔女の歌声を耳にしたが最後、魔女の虜となった迷い人は誰一人として帰らなかったそうです。
ある時、また一人迷い人がやってきたそうです。その迷い人は、金の髪をひとつに束ねた少年だったそうです。そしてその迷い人は例の如く青い髪の魔女に出会い、恋に落ちたそうです。迷い人は魔女と共に楽しく日々を過ごしたそうです。魔女と過ごすうちに迷い人が虚ろに思い出すのは痛みと衝撃、鈍っていく体の感覚、そして、泣き叫ぶ大切な人の声。つまり、死ぬ間際の記憶でした。ですが、迷い人はその記憶すら忘れてしまったそうです。そして、二度と帰る事無く歌を歌う魔女の傍に居続けたそうです。
 山の麓の森の奥深くたった一人で魔女が住んでいたそうです。時たま、人は訪ねてくるのですが、生きている人間は一人として訪ねて来ることは無かったそうです。迷い人は自身の命が尽きたことに気づかぬまま、魔女の傍に留まり続けたそうです。そんな迷い人のため、魔女は延々とたった一人で歌を歌い続けたそうです。

文鳥さん

文鳥さん

2009/04/03 12:35

▲TOP