藍流さん

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あるひのできごと -クーデレに挑んで敗れた話

 KAITO、と言えば。
 うたのおにいさん。皆のお兄ちゃん。優しくて、ちょっと頼りなくて、可愛くて。
 ――そんな風に考えていた時期が、私にもありました。



「っわーーー!? ちょっやだ、起こしてよカイトっ」
 目覚めてみれば物凄い時間になっていて、跳ね起きながら悲鳴を上げた。けれど階段を駆け降りた先、ダイニングで椅子に掛けたカイトは、しらっと冷たい視線を投げてくる。
「知りませんよ。子供じゃないんですから、自己責任」
 続く台詞も視線と同じ冷たさで、正論なのが小憎らしい。しかも奴は最近、体言止めで強調するという手法を覚えてくれた。益々もって小憎らしい。
 何か言い返してやりたかったが、時間が無いし勝てる気もしない。せいぜい恨みがましく睨んだけれど、奴はとっくに視線をはずし、手元のトーストにバターを塗り付けているところだった。ぬりぬり。
 洗面所に飛び込んで顔を洗って、再びダイニングを通過する時には、トーストにハムやら卵やらの具材を挟んでいた。はさみはさみ。
 部屋には焼けたパンとコーヒーの香ばしい匂いが漂って、何とも空腹を刺激する。着替える為に二階へと戻る私には目もくれず、カイトは完成したトーストサンドを置いて優雅にコーヒーを啜るのだった。くそぅ。

 ばたばた着替えて、鞄をひっ掴んでまた階下へ。ダッシュで急げば、ギリギリでバスに乗れそうだ。かろうじて遅刻は免れるかもしれない。しかし勿論、朝ごはんを食べてる暇なんかは無いけれど……。
 と、算段を立てつつ空腹に嘆きつつ慌てていたら、駆け降りる足が階段をひとつ踏み損ねた。
「っっ!」
 落ちる!
 悲鳴も上げられず息を呑んだ時、ダン、と強く床を踏む音が響いて、
「何やってんですか。まったく何処までも手の掛かる……」
 呆れきった声が、耳のすぐ横に聞こえた。
 え、と視線を泳がせるうちに、どうやら抱き止めてくれたらしいカイトは私をきちんと立たせ、身体を離す。
「足、捻ったりしてないでしょうね?」
「あ、え、うん。……うん、大丈夫。ありがt」
「そうですか。じゃあさっさと出た方がいいんじゃないですか?」
 ……感謝の言葉くらい最後まで聞けないのか、この男。
 すげなく遮られてジト目になる私に構わず、カイトは速やかに身を翻した。すたすた歩く背に揺れるマフラーが、やっぱりどうにも小憎らしい。思いっ切り引っ張ってやろうかしら。
 割と本気で手を伸ばしかけた時、すい、とカイトが振り向いた。ばれた?!と内心焦るけど、どうやらそれは杞憂のようで。
「ほら、遅刻しますよ」
 カイトはテーブルに置いたままだったサンドをホイルペーパーでくるりと包んで、無造作にこちらへ差し出した。
 え、と。これは。
「……くれるの?」
 おずおずと受け取ると、よし、とでも言うように小さく頷かれ。そのまま、玄関まで先導されて。
「行ってらっしゃい、マスター」
 ドアを開けて促すそのついでに、カイトは私の髪をひと撫でしていった。声音も表情も相変わらず淡々としているくせに、その指だけがひどく優しく――。



 余談だが。
 不意打ちの指に送り出され、暫しぽかんとフリーズしてしまった私は、我に返ってバス停まで、かつてない本気の全力疾走をする羽目になった。

 デレすら、素直に喜ばせてくれないなんて。本ッ当に何処までも、小憎らしいぃ!!

タイトルは作中マスターの事でもあり、この私の事でもあり。
……クーデレむずいっていうかわかんねぇわぁぁあ!(←

TLで見かけた「クーデレ」の単語に打ち抜かれて挑んではみたものの、御覧の有様でした。
なんか……違うよねこれ。クールとは違う気がするの。
これはこれで私的に新しいタイプなんだけどね……?
まずはクールを理解しないと駄目な気がします。ちょっと修行の旅に出るか(※余所の作品を読み漁るの意)

投稿日時 : 2012/02/23 21:00    投稿者 :藍流

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