時給310円さん

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巡音ルカの 『めぐりすぎ注意だと何度言ってもまるで聞く耳をもたない』



夕方、ルカお姉ちゃんと散歩している時。
西の空に赤く光りながら飛んでいる円盤を見つけてしまった。
なにあれ! ひょっとしてUFO!?

「お姉ちゃん、見て!」

私がUFOを指差して叫ぶと。

「え、なに、何!? どうしたのっ!?」


いや私の指じゃなくて、指差してる方向を見てっ!!









日本をもっと知りたいと言うお姉ちゃんのために、あちこち旅行に連れて行ってあげた。
田園風景を見に行った時のことだ。

「ミク、あんなところにお人形が立ってるわ」

お姉ちゃんはカカシを指差して、不思議そうに言った。

「あれはカカシっていうんだよ。ああして田んぼの中に人が居るように見せかけて、スズメを追い払うんだよ」

そう教えてあげると、お姉ちゃんはなぜかポーッと赤くなる。
熱っぽく潤んだ瞳で、うっとりとカカシを見つめながら。

「雨の日も、風の日も、がんばってお米を守っているのね……」


いけないっ、またお姉ちゃんが無機物に恋してるっ!!








「大人になるってね。子供の頃にはたくさん持ってた夢を、1つ1つ諦めていく事なのよ」

お姉ちゃんは、ほろ苦い微笑みを浮かべて言った。

「……歌手の他に、なりたかったものがあるの?」

私が尋ねると、遠い目で空を見上げて。


「一度でいいから……男の子になってみたかったなぁ……」


それは残念だったね。







「ミク、見て見て。大発見なの」

お姉ちゃんが鉛筆を握りしめて、満面の笑顔で私の所までやってきた。
鉛筆の先っぽをつまんで、上下にフルフルと揺らす。

「ほら、曲がる曲が~る。ねっ、すごいでしょう?」
「……っ」

喉元まで出かかった言葉を、私はかろうじて飲み込んだ。

「わ、わぁ~、すごいなぁ~……」


その100万ドルの笑顔を曇らせるなんて。
そんな残酷なこと、私には出来ませんでした。








「お姉ちゃん」
「何? ごはん?」

お姉ちゃん、ご飯はさっき食べたでしょ?






お姉ちゃんとリンちゃんが何か約束をしたらしく、仲良く指切りげんまんしている姿を見かけた。

「ルカ姉ぇ、これは指切りって言ってね。私達は絶対に約束を守ります、っていう誓いの印なんだよ」
「へぇ~、そうなの。素敵ねぇ」

ふふ、なんだか可愛いこと話してる。
私が微笑ましく見ていると。

「もし約束を破ったら、この小指を切り落とさなきゃいけないんだよ。日本のヤクザもやってるんだよ」
「ええっ!? そうなの!?」


リンちゃん、嘘教えないの。







「ダメじゃないリンちゃん。お姉ちゃんはまだ日本のこと良く知らないんだから、信じちゃうでしょ」

見過ごしておけなかったので、リンちゃんを叱る。
だけどお姉ちゃんが、やんわりと割って入ってきた。

「いいのよミク。ほんの冗談だったのよね? リン」

もう、お姉ちゃん甘いんだから。

「ごめんなさい」
「いいのいいの。それに本当のこと言うとね、それが嘘だって最初から分かってたの」
「え、そうだったの?」

何でもお見通しという微笑みで、リンちゃんの頭を撫でる。
いつもポーッとしてるみたいで、だまされたフリだなんて、お姉ちゃんやるなぁ。
感心する私とリンちゃんに向かって、お姉ちゃんは自信満々に言った。


「ホントは腹を切るのよね?」


いや何も切らないから!









おまけ『ワンダーラスト』



♪ 君が笑ってくれるのなら 僕は 消えてしまっても構わないから


いろいろアレなお姉ちゃんだけど、歌の実力は確かだ。
歌っている後ろ姿も、なかなかに格好良い。


♪ 君が涙の海に身を投げても 握りしめた手 離さないから


うんうん。
お姉ちゃんならきっと、絶対に手を離さないんだろうな。

「……ふふっ」

お姉ちゃん、泳げないけどね。
後を追って涙の海に飛び込んだは良いけど、お姉ちゃんの方が先に溺れちゃって、「君」はそれを助けるハメになっちゃって。

(泳げないんなら、ついて来るなよ! しょうがねーなっ!)
(ぜ、絶対に……げほっ……絶対に離さないからっ!)

「君」が、もう泣いてる場合じゃなくなっちゃう光景を想像して。
私は小さく笑った。













     めぐりすぎ注意だと何度言ってもまるで聞く耳をもたない

                      おしまい





……そもそも「ワンダーラスト」でニコニコしようという試み自体が無謀だったような。orz
総執筆時間の8割をこれ1つに費やしたにも関わらず、結局ネタにはアレンジできず。
でも諦め切れなくて、おまけ枠でハートフル風味な仕上がりを目指したんですけど……い、いかがでしょうか? 名曲だけに反応が怖いです。ガクブルです。

まったく書く予定の無かった、めぐりすぎ第3弾。前回、僕史上ありえないほどたくさんのコメを頂けたので、皆様へお礼のつもりで書きました。スペシャルサンクスは翠葉さん。ホントにありがとうございました! 遅くなりましたがお礼です。なお、返品は不可ですw


例によって、すでに超有名なので紹介する必要もないと思いますが……まあ一応。

『ワンダーラスト』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6020985

投稿日時 : 2009/04/12 12:06    投稿者 :時給310円

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あなたと私だけの歌【終末ボカロ企画・pixvより】

 目を覚ましたとき、真っ先に目に入ったのは真っ赤な空だった。
 まるで世界が終わってしまうような不安を与える赤く染まった色に目を覚ましたばかりの私は手を伸ばし、そして手を伸ばしきる前、透明樹脂の冷たい感触が指に触れた。意識がはっきりと覚醒していく。自分を囲むのは狭い空間。まるで棺桶のような冷凍睡眠装置。ああ。とまだほんのすこし現在と過去とが入り混じった意識のまま、私は手元にあるスイッチをいくつか押した。ロック解除。かちかち、と自分を収納していた棺桶のようなこの装置のロックが外れる音を耳に届く。本来ならば自動で蓋も開くはずなのだが、長い年月を経たせいで蝶番が壊れてしまったのかもしれない、蓋はほんの少しだけ開いただけで止まった。
 ほんの少しの隙間から入り込んできた、記憶していた空気よりも酸素濃度の濃い、大気。
 重い蓋をゆっくりと持ち上げて外す。湿度も高いのだろう、ねっとりとした質量を有する空気が肌にまとわりつく。私は蓋を無理やりこじ開けて棺桶のような冷凍睡眠装置から起き上がり、外へと出た。
 風が、私の二つに結い上げた長い緑の髪を揺らして、通り抜けた。

sunny_mさん

sunny_mさん

2013/07/08 14:40

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