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【カイメイ】酔ってるのは、お酒にじゃなくて

「ねぇ、カイトってお酒強いの?」
「え?どうして?」

リビングのソファでの晩酌中、私はふと思いついた疑問を口にした。
ローテーブルの向こう側でラグマットに座っているカイトが、きょとんとした表情で首を傾げる。

「だって、酔ってるの見たことないんだもの。もしかしたら私より強いのかなって」
グラスに入ったワインを飲み干すと、カイトがすかさずお代わりをついでくれる。
「そろそろおしまいだよ」、とお小言をこぼしてから、考え込む素振りを見せた。

「うーん、強くはない、かな」
「そうなの?」

意外だった。
何度となく一緒にお酒を飲んだり晩酌をしたりしているけど、顔色すら変わらないのに。

「その割に酔いつぶれたこととかないじゃない」
「あのね、普通の人は酔いつぶれるまで飲まないんだよ」
「私だって、つぶれることは滅多にないもん」
「威張らないでください」
「むー」
まるで小さな子供に言い聞かせるような口調が面白くなくて頬を膨らませると、くす、とカイトが微笑んだ。

「可愛いね、めーちゃん」

テーブル越しに伸ばされた指先が、私の頬をそっと撫でる。
向けられる優しい目に耐えられなくて視線を逸らしてしまいたかったけど、…もうどうせ顔は赤いんだから、無意味だろう。
妹たちはもう寝てしまったし、二人きりだし、お酒も入っているし…。
いろんなリミッターを外し、せっかくなのでその甘さを堪能しておくことにする。

「…だって、俺が酔ったら、めーちゃんが安心してお酒飲めないでしょう?」
「何よそれ、私のせいで飲めないってこと?」
「違う違う、そうじゃなくて」

頬を撫でていた指先が、唇に触れる。優しく舐るように動くそれに、キスされているような気分だ。

「俺の前で、安心して酔ってるめーちゃんを見てるのが好きなんだ」
「…何よ、それ」
「いつも『お姉ちゃん』を頑張ってるめーちゃんが、俺の前でこうして甘えてくれるのが嬉しいから」
「……」
「こうして、俺だけを見てくれるのが嬉しいから」
「……」
「だから、いつでもめーちゃんが俺に寄りかかれるようにしてるだけだよ」
「……」

…撃沈。
テーブルに突っ伏して、真っ赤な顔を見られないように隠した。
コイツは、どうしてこんなに恥ずかしいことがさらっと言えるんだろう。

「…カイト」
「なに?」
「…ばか」
「うん、知ってる」

精一杯の返答に、にへら、と笑った顔があまりにも幸せそうで、なんだかもう勝ち目がなくって、私は白旗を揚げた。

ほんとはもっと違う話を作る予定だったんですが、なんかうまくまとまってしまったので一本の話にしてしまいました。



兄さんは酒に強いのか?という素朴な疑問から生まれたお話。

私の中でめーちゃんは酒豪、べらぼうにアルコールに強いけど、3ヶ月に一回くらい悪酔いになるっていう印象。
兄さんは酔わなそうな感じだったので、「強いんですか?」と聞いてみたらこのような解答が帰ってきました。
あと、酔っためーちゃんを他の野郎の目に触れさせたくないんだそうです。

愛ですね、分かります。



酔ったカイトの話も書いてみたい…

投稿日時 : 2010/05/15 00:27    投稿者 :キョン子

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