【ルカミク小話】 Winter Light ―冬の陽― (『memorial wings~キオクノツバサ~』オマージュ作品)
彼女が髪を下ろしている姿を見るのは久しぶりだった。
窓から入ってくる、冬の午後の緩い風に、長い ―― ルカのそれよりも長い髪が揺れて、頬を擽る度にくすぐったそうだった。
お休みの日に押しかけてごめんねと水くさいことを言ってくれた少女は、ブラウスにネクタイと黒のミニスカートの、彼女の仕事着と言って良い定番のスタイルで、窓際に吊るしたモビールがゆらゆら動くのを飽きる様子もなく見上げている。
細いワイヤーで鳥と雲を象ったそれは、あたかも風に乗って飛んでいるかのように、滑らかに位置を変えながら浮き沈みをしていて、それを一心に追っている大きな瞳は、その鳥に焦がれているようにも自分を重ねているようにも見えた。
「お茶、入ったわ」