玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ! > ブクマでつながった作品

玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ!

ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。

ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。

それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」

フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。

「あ、テトさん。ごめんごめん。ちょっと、大人気なかったかな。それより、僕らのブースに、いなくて平気なの?」
「ええ。いま、兄がいるから大丈夫。商談とか、お客様の応対をしてもらっているの」

コヨミ君はそれを聞いて、思わず頭をかいた。

「そうでした。テト・ドールの商談をしてたんだよね。ゴメン、ゴメン」


●まず、こちらが大事!

すると、噂をすれば影ではないが、向こうから男の人がやってきた。
コヨミ君とテトさんは、彼を見て声を上げた。
「あ、ホソノさん」

さっき、コヨミ君が商談をしていた相手だ。

その男の人は言った。
「どうも、いまテトさんのお兄さんと話してきましたよ。“ナチュラル・テト・ドール”の事をね」

コヨミ君は、つぶやいた。
「ふむ。“はっちゅーね”の事より、まず“テト・ドール”の事を優先しなきゃ」

彼は、れおんさんに向って言った。

「なんか、すいませんね。商売の邪魔をしちゃって」


●悪いおっさんじゃ、なさそう

れおんさんや、リンちゃんのファンの男の子達は、やっと和やかな雰囲気になった。
「オー、コヨミ君、アナタは良い人デス!」

そんな様子を尻目に、りりィさんは、霧雨さんに話しかけた。

「景織子さん。きょうは、このブースで作品の展示なの?」
「うん、そうなの」
「でも、その“はっちゅーね”は?」

霧雨さんは聞かれて、抱いている人形をかかげた。
「うん。ブースを賑やかにしようと思ってね。ちょうど、リンちゃんも遊びに来るっていうんで、お客さん寄せに、持ってきたのよ」

「そうなの。随分、不思議なオシャベリをするのね」

りりィさんの言葉に、霧雨さんと、ブースの中に座っている駿河ちゃんは、ニヤニヤと笑った。

すると、また “はっちゅーね”がしゃべった。
「マア、でも、れおんっていう人、悪いオッサンじゃ、なさそうだネー」

それを聞くと、リンちゃんのファンたちは口々に言った。
「うんうん。ねえ、おじさん。ぜひリンさんと、この人形、キャラクター商品にしてくださいよ」
「さあさあ、リンさん、もう一回、“はっちゅーね”を抱いてください」

そしてまた、撮影会のようになってしまった。

コヨミ君は、思った。

「まあいいか。こっちも“ニュー・テト・ドール”で勝負だ。それにしても、変な人形だ、“はっちゅーね”は」ε=( ̄。 ̄;A

はっちゅーねの攻防戦、どうやらひと段落のようですね。

投稿日時 : 2013/04/29 16:36    投稿者 :tamaonion

ヘルプブクマでつながった作品とは?

「VOCALOID HEARTS」~第22話・狙われた少女~

「連続暗殺事件…物騒な世の中」
 唄音ウタことデフォ子。MARTで支援を受けて社会復帰を果たしたウタは、小さな広告店でうだつの上がらない毎日を送っていた。基本的にやることといえば、街中で昼前から夕方まで延々とティッシュ配り。彼女は正直、そんな仕事に満足はしていなかった。クールで無気力、それでいて人前に晒すことのないサディエストさを持った彼女にとっては、余計に。
 しかしここまできて、ようやくまともな職を掴んだウタは、再びカイトの世話になるわけにはいかないと思い、贅沢は言えなかった。そうして今日も変わらず長く感じる昼休憩の合間に、自分のデスクに弁当を広げて新聞を読んでいた。15歳にはあまり見られない光景だが、カイトに「日頃から新聞を読め」と言われていたので、その習慣が身についているようだ。テレビ番組覧の裏には、連日この¨暗殺事件¨について大きく報道されていた。
 ¨立て続けに起こる暗殺事件。そして昨日未明、30代と見られる男性が都内のマンションで倒れているのを近隣住人が発見した。警察によると男性は腹部に銃撃を受けており、現在懸命な治療が行われている。男性の身元は現在確認中であるが、アンドロイド平和統括理事会の重役であるとみられ、理事会も独自に調査を開始している。警察は殺人未遂の容疑で、以前の事件と同一犯である可能性もあるとみて捜査を進める方針だ。¨
「…寝よ」

オレアリアさん

オレアリアさん

2015/11/06 18:09

「VOCALOID HEARTS」~第29話・電撃無双~

 もしも亞北ネルという女が、世界のモデル界を魅了するプロポーション抜群の超絶金髪美少女アンドロイドアイドル、なんて存在だったら、どれだけ良かったか…想像していたら、アホらしくなってくる。
 そんな妄想じみたことを考える私は、毎日のように街の警備や要人警護とかの仕事をしている。でも、それは普通の警察活動を行う組織とは少し違って、一都市の軍事防衛を兼ねた「軍警察」とでも言えるか。この軍警察は、通称「AMP」と呼ばれているんだけど、東京の湾内にある大きなアンドロイドの居住区っていうか、特別行政地区っていうか…ああ、も~ややこしい! とにかく、そーいうところを汗水流して守ってるワケ。
 私はAMPの第1師団長・リリィさん直属の部下になるまで、必死になりながら、のしあがっていった。訓練学校を出て下っ端から始まった負けず嫌いな性格の私は、とことん仕事に力を注ぎ、片手間に肉体を鍛え続けた。でも私はそれに物足りず、自分の体を痛めつけてでも、更に体を強化するために研究機関に依頼して自らモルモットになった。その盲目に追い求めた力の代償は、とても大きかったけどね。
 私は戦闘アンドロイドとして、諸々の武器をぶら下げ、時とあれば戦いもやる。すべては、私が愛するAMPが守る街のために。そんな信念があるから、毎日が大変でもこの仕事はイヤじゃない。けど、もっと女らしい仕事がやりたかったなって、今更だけど思ってしまう時がある。心境の変化、ってヤツかな。
「はいは~い、AMPで~す。下がって下がって」

オレアリアさん

オレアリアさん

2013/12/24 20:03

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