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Side:レン(私的闇のダンスサイト)

人によってはグロテスクかもしれません。
ご注意ください。


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ぐちゃぐちゃになった『それ』を見た瞬間、思考回路のどこかが決定的におかしくなった気がした。





俺とリンは恋人同士だった。
とても明るくて可愛いリン。側にいるだけで幸せで、二人の間に破綻なんて来ないんだろうと、そう思っていた。

でもまさか、こんな終わり方をするなんて―――誰が考えついただろう。

身寄りのないリンの身元確認には俺を含めた友人数人が呼ばれた。
でもあれじゃあ・・・誰なのかなんてわかるわけがない。辛うじて髪で判断できるかどうか、位。それほどに遺体の状況は酷かった。

だから何となく、リンが死んだという実感はない。
目の前で崖から飛び降りてそのまま消えてしまったような、そんな不思議な感覚。

どこにいっちゃったんだよ、リン。


「レン・・・」
リンの友達だったメイコさんが心配そうに俺を見てくる。
はは、そんな酷い顔してんのかな。ちゃんと寝てるつもりだけど夢にはいつも『あれ』が出てくるから何回も起きてしまう。ちょっと寝不足なのかもしれない。

周りの人はみんな異様に優しい。
それがまるで俺を責めているようだ、なんて、どうかしてるんだろうか。

リンは友達だったミクに遺書を郵送していた。
そこにはたった一言。
『死にます。間違ってもレンを責めたりしないように』
それはどういう意味なんだろう。
俺には何の罪もないってこと?
自分一人の身勝手だってこと?
勝手に苦笑が洩れた。




冗談はやめてくれよ、リン。
君を救えなかったのは君自身じゃない。


俺だろう?





段々君がおかしくなっていったのはわかっていた。
金色の笑顔は曇りがちになり、ふさぎ込むようになったのにも気付いていた。

でも俺は何もしなかった。

不用意な言葉で君との関係を壊すのが怖くて。
だったらいっそ壊してしまおうと思ったんだ。君を。
壊して壊して、俺が不可欠なまでに壊してしまえば、








でもこんな結末望んでない。







自業自得?なのかな。
っていうか笑っちゃうくらい俺のせいだろ。
リン、君は書いとくべきだったんだよ、この遺書に。「レンは私を救ってくれなかった」って。
こんなことになる前に、君に詰られたかった。でもリンがどう俺を詰れたと?「なんで私を助けてくれないの」?「なんで手を貸してくれないの」?

阿呆らしい。リンはそんなこと言いっこない。

でもとにかく俺は、どんな形でもいいから君に断罪されたかったんだ。
自己満足でいい。断罪されることで許されたかったんだ。
だってこんなの辛い。俺に一言も言わずに行ってしまうなんて、そんなの酷い。

二人で寄り添いあって生きて来たはずだろう。お互いの欠けたところを補い、足りないところを埋め、いびつであれ噛み合うところを溶け合わせながら、少しずつ依存の度合いは高くなっていったはずだろう。

それともそれは俺だけ?
いや、君だってそうなはず。ただ君は最後の最期に俺の手を振り払うことが出来ただけで。

永遠の別れに踏み出せただけで。

つまり、リンは逃げたんだ。
苦しみや悲しみや痛みから。
この虚ろな世界から。
俺、からも。



何それ。

そんなの駄目だよ、リン。


俺は君のいない世界じゃ生きていけないよ。それは当然のことだろう。
バランスを取って支え合う棒の一本が倒れれば、もう一本だって倒れる。つまりそういうことだ。
ああ差し込む日差しが欝陶しいな。さっさと沈んでしまって二度と昇ってこなければいいのに。

君がいないだけで何もかもが違って見える。君みたいで好きだった青空も、太陽も、花達も、今は目に入るだけで苛立つ。

寧ろ夜の方が好きだ。昔、何となく怖くて苦手だったのが信じられないくらい。
今は平気だ。夜の街を歩くのも、夜の闇に呑まれてみるのも、君がいなくなったあの日から日課になりつつある。

だって夜にはきみがいる。

空気に、風に、とにかくどこかに君のかけらがちりばめられている。俺にはよく分かるよ。他の誰にもわからなくたって、俺にはちゃんとわかってる。

俺にとって、今まで生きてきた街は意味を失いつつあった。
全てがモノクロの世界に見える。
「今日は空が綺麗に青いねぇ」
空みたいな色の髪をした先輩が暢気に呟いていた。でもその言葉が理解できない音の羅列だってことに気付いたのは昨日だった。

綺麗、ってどんなんだっけ。

脳内検索をかければ、一つのパターンがヒットする。
笑顔。君の笑顔。
街中で。家で。お店で。テーマパークで。

あの夜の森で。

思い出した瞬間、リンの最期の行動が連鎖的に頭に浮かんで来た。
踊るように胸元に飛び込んで来た君の美しさ。
見上げて来た笑顔の愛らしさ。
抱きしめた感触ならまだこの腕に残っている。
嘘だ。
その全てが消えてしまったなんて、嘘だ。


ただ一つの言葉だけが頭の中をぐるぐると回る。



君に会いたい。
会いたい。
会いたい!!



リンはどこかにいる。
どう、したら。
どうしたらそこまで行けるだろう。








―――ああそうか。


ゆっくりと手を伸ばして、鈍く光るソレを手に取る。

そうだよ。こんなに簡単なのになんで気付かなかったんだろう。

涙と笑いが同時に零れる。


同じ道を辿れば、きっと同じ所に着けるよね?
いまいくよ、リン。


―――がつっ。


勢いを付けて突き立てた、手に伝わる硬い感触と喉から込み上げる錆のような味。
柔らかい首を刔り込まれる痛みに視界を白く染めながらも、俺は途方もなく幸せだった。

これが二人の生きた証、なんて言ったらリンは怒るかな?
でも生きるってこういうことじゃないか。柔らかいところを刔られて刔られて、それでも未来があるってことじゃないか。
幸せはひとときでしかない。そして幸せでい続けたければ無知で無関心でいるのが1番いい。って、これってすごーく空虚な世界観だなあ。


げほ、と吐いた息はほとんどが血で出来ていた。
痛みが脳をじりじりと焼いていく。

遠くなる意識に床に倒れ込みながら、俺はどうしようもない陶酔感を感じていた。









愛するきみ。今度は離さないよ。






ああ、やっぱり俺、




しあわ、

これ、規約的にどうなんだろう・・・

というかやはりヤンデレ臭。おかしい。このレンは割と白くなる予定だったのに。

投稿日時 : 2009/11/08 10:38    投稿者 :翔破

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語り部のマヨイガ

語り部のマヨイガ
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのはとても美しい魔女の物語です。
山の麓の森の置く深くに青く長い髪を持つ魔女が住んでいたそうです。魔女はとても美しく、その姿を見た者は誰しも魔女に恋してしまうそうです。麗しき魔女の歌声を耳にしたが最後、魔女の虜となった迷い人は誰一人として帰らなかったそうです。
ある時、また一人迷い人がやってきたそうです。その迷い人は、金の髪をひとつに束ねた少年だったそうです。そしてその迷い人は例の如く青い髪の魔女に出会い、恋に落ちたそうです。迷い人は魔女と共に楽しく日々を過ごしたそうです。魔女と過ごすうちに迷い人が虚ろに思い出すのは痛みと衝撃、鈍っていく体の感覚、そして、泣き叫ぶ大切な人の声。つまり、死ぬ間際の記憶でした。ですが、迷い人はその記憶すら忘れてしまったそうです。そして、二度と帰る事無く歌を歌う魔女の傍に居続けたそうです。
 山の麓の森の奥深くたった一人で魔女が住んでいたそうです。時たま、人は訪ねてくるのですが、生きている人間は一人として訪ねて来ることは無かったそうです。迷い人は自身の命が尽きたことに気づかぬまま、魔女の傍に留まり続けたそうです。そんな迷い人のため、魔女は延々とたった一人で歌を歌い続けたそうです。

文鳥さん

文鳥さん

2009/04/03 12:35

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