ミク、ルカ、リン、レンの四人はクリプトンから与えられた立派なマンションに住んでいる。
リビングの隣には防音のレッスンルームがあり、音響機器が一通り揃っているばかりでなく、結構な広さがあってダンスのレッスンもできるようになっている。
今日はミクとルカが新曲の振り付けを練習している。

二月の札幌。
例年寒くなる時期だが、今年は特に冷え込みが厳しい。
一番早く起きたルカがストーブに火をいれる。

（前編からの続きです）
「…ミク、ジェンダーとか勝手にパラメータ変えてない？」
スーパーセロPの自宅。

昼下がりのリビング。けだるい時間が流れている。
リンとレンは新曲のレコーディングに行っていて、ミクとルカが家に残っていた。
二人は長いソファの左右に座って、ルカはファッション雑誌を、ミクはテレビを見ている。

朝から雨が降っていた。
しとしとと弱い雨だが、同じ調子でずっと降り続いている。
空は均一な灰色の雲に覆われ、当分やむ気配はない。

（前編からの続きです）
　　　　　☆
深夜二時。ベッドでリンがふと目を覚ました。

髪を乾かし部屋着を着てリビングに行くと、ミクがソファでテレビを見ながらポッキーを齧っていた。
撮影ではイチゴ味のほかに定番のチョコや抹茶味のも用意してあったので、余ったのをもらったのだ。今食べているのは抹茶味だ。
撮影を思い出させるようなアイテムを出すなっつってんのに……。

「……ちょっとリン、そうやって じ～っとあたしの顔見るのやめてくれる？　落ち着かないんだけど」
日曜日の朝、ミクとリンは新曲「sweet-sour distance」のPV撮影現場へタクシーで向かっている。
セガのゲーム用の曲で二人のデュエットだ。セガにしては珍しく百合をテーマにした曲である。

「シーン7、カット3、スタート！」
カチンコが鳴り、撮影が始まる。
昼休み、晴天の校舎の屋上。深呼吸したくなるような気持ち良い風が吹いている。

ハイドロガール
1a.
誰もが欲しがる　ミス・ディアマンテ　難攻不落の城塞

「失敗した！」
「できない！」
「怒られた！」

Ａ
吸い込まれる程に
光る勾玉

【1番】
灰をかぶったstory
さあ始めましょう　火遊び

（サビ１）
ねぇ　構ってよ
上目遣いで

とめどない愛欲を解き放った
壊したいほど愛しいあなた
満更でもないはず僕の事好きなはず

真夜中のGardenに2人
寂しがりやな僕等は未だ
天使のCurtainで隠して

綺麗におめかし
紅（べに）ひいて　髪を結い
今日もお仕え致します

宵も深まり　月がユラメク
妖しく麗しき刻（とき）を
我と過ごしたい者　此処へ参れ

その濡れた肩越し　執拗にせまる
熱い視線　くるおしく
滑り落ちる髪　腰へと流れゆく

奉仕をしろとは言ったけど
奉仕をするとは言ってない
嫌(イヤ)、厭(イヤ)、否(イヤ)、都合良く考えないで

Ｓ　今日だけは良いですよね？
　　ずっと我慢してたんですから
　　僕にも甘いもの舐めさせて下さいよ

赤い波が寄せる　青い炎揺れる
涙に染まる空　誰も気付かない
僕がここに来たわけは　君がここにいないから

「愛してる」「美しい」
そんな言葉どうだっていいから
私の言う通り動いてよ

【サビ】
さあ囁いてごらんなさいな
脳が溶けてしまうくらいに

私は猫よ
鎖に繋がれ　自由を奪われてただ眠るの
この目に映るは　窓から見える景色と貴方だけ

暗闇に自ら飛び込んだ
あなたと一緒だもの
怖いものなど何もない

【A】
汚れが蔓延る街並み
みんな毒ガス吸って生きてる

交わるなら
取り込むくらい
強引がいい

世界の殺伐さに終わり感じる時
抜けだそうと声かけた天使
微笑みの裏知りたい