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  • 2月14日 閲覧数:242
    2012/02/09
    00:56

     寒さが一層厳しくなるこの時期は出かけるのも億劫で、カーテンの隙間から零れるように差す朝日など見ないフリをして布団に潜ったままでいたい。そう思うのは人間だけではないのか、カイトもまた何度目かの寝返りを打った。
     しかし、時折布団の中から聞こえる溜め息は、ただ単に寒さを嘆いてくるまっているようには見えない。
    「……マスター、もう起きたかな」

  • 【小説】 金糸雀 4 閲覧数:166
    2011/12/09
    04:27

     あれから、めっきりリンはカイトの側から離れなくなった。
     いや、元より食事もおやつも遊びに出かけるのも、ずっと二人は一緒だったが、カイトが時折甘やかすように頭を撫でたり膝掛けを持ってきて気遣ったりとするようになったので、より仲良くなったように見えるのだろう。
     それは単に、生活環境に馴染んで立ち回りが上手くなっただけなのかもしれない。そう思いたくても不自然さを隠しきれないカイトを見ていることが出来なくて、メイコはお菓子に喜ぶ二人をリビングに置いて自室へ向かった。

  • 【小説】 金糸雀 3 閲覧数:189
    2011/11/22
    09:58

     何も知らないカイトが目覚め、一月は経っただろうか。
     街はクリスマスに浮かれ初め、ボーカロイドたる初音ミクはそれらを盛り上げるためキャンペーンソングを歌ったりとイベントに出ずっぱりだった。
     元々、仕事は大なり小なり全力でこなす元気な少女ではあったが、最近は特にその笑顔に磨きがかかっているような気がして、同じ現場に居合わせた巡音ルカは休憩時間に声をかけた。

  • 【小説】金糸雀 2 閲覧数:250
    2011/11/18
    05:39

     吹きすさぶ風にも負けない熱気に包まれた野外ステージ。撤収のスタッフに紛れ、鏡音レンはもう一度そこへ立った。
     眩しいくらいのライト、オーディエンスの黄色い歓声。パートナーとも言えるバンドメンバーのおかげで、今日のステージも上手くいった。細かな反省点はあれど、成功を収めたと胸を張れるこのステージが満足出来なかったのは、いつでも隣にあった姉である鏡音リンの姿が無かったからだろうか。
     双子であることを活かして一緒に歌うことも多かったし、ソロの活動をしていても彼女は関係者席で応援してくれていた。姉離れが出来てないわけじゃないと思うが、ただ何となく空虚な気持ちを持て余してしまう。

  • 【小説】金糸雀 閲覧数:171
    2011/11/17
    04:18

     空の色が薄く、心持ち木々も時折吹く風にじっと耐えているような秋の終わり。
     特にイベントごとでも無ければ街も部屋も簡素なもので、青年はぼんやりとそれを眺めていた。
     青い髪と瞳を持つボーカロイドとして生まれ、何年眠ってきたのだろう。部屋に飾られたカレンダーは自分が記憶していたものより少し先に進んでいるし、棚には自分とよく似た人物がジャケットになっているCDが面置きされている。

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