最近の投稿作品 (174)
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あらすじ
よく笑う子供だった
孤独でも恐れなかった
いつからだ?
こんな臆病になったのは
「あらすじ」
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旅人書房と名無しの本(答え合わせ)
俺は今日、人生の答え合わせをした。
楽しかった事や、苦しかった事、
未だに癒えない傷の事など、
自分の過去を振り返りながら、
安物のノートにひたすら書き連ねた。
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旅人書房と名無しの本(片道切符)
片道切符を購入し、
誰もいないホームで列車の到着を待っていた。
行先はこの路線の終点まで。
あえて目的を決めず、気の向くままに旅をする。
思えば、ここまで来るのに色々あった。
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旅人書房と名無しの本(通信簿)
私は、会社のビルから飛び降りた。
理由を探せばいくらでも出てくるが、
それすらも疲れてしまった。
私が最後に願ったのは、
“あの頃に戻ってやり直したい”だった。
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旅人書房と名無しの本(それから)
【遠藤愛華がログアウトしました。】
【アンインストールを開始します。】
【しばらくお待ちください。】
……………………………………
愚か者。
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旅人書房と名無しの本(忘れもの)
「これで良かったのだろうか?」
不安に駆られて目が覚める。
掛け時計を見ると、夜中の二時を回っている。
ここは、夜景がよく見える最上階の病室。
私の手は、僅かに震えていた。
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旅人書房と名無しの本(ただいま)
八月十五日のお盆休みに、
五つ下の妹を連れて先祖の墓参りに行った。
電車を乗り継ぎながら、
一時間程で目的地の先祖達が眠る霊園についた。
「兄ちゃ〜ん、暑いよ〜」
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旅人書房と名無しの本(またいつか)
私たちの日常も、今日で最後になるらしい。
私たちの頭上には、
星よりも明るい光が幾つも見える。
それらは、私たちの方へと近づいているようだ。
どの報道番組も、その光の事しか話さない。
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旅人書房と名無しの本(道しるべ)
世の中には、目を背けたくなる実情が沢山ある。
その人によって、
また、時代によって痛みの種類や程度は違う。
酒がなくても酔うことはできる。
周りを見てみなよ。
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旅人書房と名無しの本(ラピスラズリ)
人間を辞めて、猫になりたい。
猫は良い。
私よりも自由だから。
無条件に愛されるから。
やっぱり、飼い猫よりも野良。
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旅人書房と名無しの本(アメジスト)
日に日に、足取りが重くなる。
周りの雑音が、私への誹謗へ変わる。
息苦しい。
消えたい。
逃げ出したい。
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旅人書房と名無しの本(オパール)
私は、透明が好き。
無個性な私にはピッタリな色だから。
実家を飛び出して一人暮らしを始めてから、
透明な家具や食器を買い集めて、
それらを眺めながら癒される。
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旅人書房と名無しの本(エメラルド)
何処に居ても差別はある。
何年経っても無くならない。
形を変えて言葉を変えて、
胸ぐらを掴まれる。
復讐劇は終わらない。
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旅人書房と名無しの本(ルビー)
目を覚ますと、見慣れない天井があった。
右腕には、点滴用の針が刺さっていて、
ここが何処であるかは直ぐに分かった。
どうやら、私は失敗したらしい。
とりあえず、これまでの経緯を振り返ってみる。
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旅人書房と名無しの本(ガーネット)
金木犀の香りが辺りに漂う季節、
私は、コンビニで買ってきたロコモコ弁当を意地汚く頬張る。
父は今日も帰って来ない。
母は熊の胸の中にいる。
無造作に転がっている女物の下着。
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旅人書房と名無しの本(言葉を食べる夢)
私は今日、夢を見た。
普段は滅多に見ない、不思議な夢だった。
とある街に、言葉を食べる少女がいた。
少女は、街中を歩き回りながら、
吸い取るように言葉を食べ続けた。